“春の沖島”
 H31年度版

 厳しい冬が過ぎ、小アユ漁やフナ漁が始まると、“沖島の春”到来です。
 沖島の春は、島の所どころに桜が咲き、山では“蕨”“筍”“よもぎ”などの山菜も採れたり・・・とのんびりとした懐かしい春の風景に出逢えます。
H31年・春の話題

 春到来・・・沖島では穏やかな春を迎えています。昨年は3月下旬頃から暖かくなり桜も例年より早く咲き始めましたが、今年は4月の初めに雪が舞うなど、気温が安定せず桜の開花に影響があるのでは…と心配されましたが、毎年恒例となりました“桜まつり”の開催日3日前頃から咲き始め、予定通り開催させていただくことが出来ました。また春の訪れを告げる“ニゴロブナ漁”なども始まり、沖島の春、満開です。そんな春色の沖島から今年の話題をお届け致します♪


 今年も“ニゴロブナ”が獲れません…
 今年も春の到来とともに今季の漁が始まりました。昨年は“ニゴロブナ漁”が不漁で鮒ずし講習会の塩切り鮒が充分確保できないなどの事態を招きましたが、今年も昨年よりは獲れているものの、“ニゴロブナ”が獲れない状況が続いています。そのため、今年の「塩切り鮒の予約販売(4月末締切)」は予約していただいたものの、商品を発送できるかどうかは確約できないため、“仮予約”という形で対応させていただいております。また、「鮒ずし手作り講習会」においては、予約販売を優先するため講習会用の「塩切り鮒」がどのくらい確保できるかで開催日数などを調整させていただく予定です。
 この話題の“ニゴロブナ”は、琵琶湖のみに生息する琵琶湖の固有種で、形態は体高が低くて体幅は厚い、他のフナに比べて頭部が大きく、下顎が角張っているのが特徴です。主食は動物プランクトンで、産卵は4〜7月に琵琶湖の沿岸や内湖の抽水植物群落で行われ、産卵期以外は琵琶湖の沖合いの底層近くに生息する湖魚です。漁獲量(フナ全体)は平成に入ってから急激に減り始め、資源回復のため様々な策が講じられてきており、人工ふ化による計画生産も毎年コンスタントに行われております。しかしながら、昨年から続くこの状況は、3年前に天然ふ化したものが少なかったことにより起きているのではないかと推測され、天然ふ化する分に漁獲量が大きく左右されていることがうかがえます。また、この天然ふ化については琵琶湖の水位が影響することは確かだとされていますが、その他の様々な環境にも影響を受けているのでは…と考えられています。このようなことからも安定した漁獲量を常に確保していくことは難しく、自然環境が及ぼす影響は計り知れないことを実感するばかりです。

“本もろこ南蛮酢漬け”
 その他、“スジエビ漁”、“ホンモロコ漁”は順調で、特に“ホンモロコ”は体格が大きいものが多く、子持ちのものでは卵の量がを多いものが獲れており、ここ数年の間で最も良いのではないでしょうか。また、春の風物詩でもある“小アユの刺し網漁”は、まだ始まっていませんが(4月9日現在)、えり漁ではごく小さなものが獲れています。
 このような春の漁の様子から、“ニゴロブナ漁”は不調ですが、その他の漁がほぼ順調なことから、現在の琵琶湖の状態は、昨夏の台風の影響でもたらされた良い状態が続いているのではないかと思われます。また、「冬の話題」でも触れましたが、琵琶湖で年に一回起こると言われている“全層循環”が未だに確認されておらず、このような状況の一因となっているのではないでしょうか。

“えび豆”
 この“全層循環”とは上層部の水温が冷やされたことにより上層部の水が下層部に潜り込み、湖全体の水温がほぼ同じになる現象です。過去に一番遅かったのが3月末という年もありましたが、今年は雪が少なかったため水温が充分に冷やされなかったうえに、そのまま水温の上昇へと転じてしまったため、今年は起きないのでは…とも言われています。このことが今後の漁にどんな影響を及ぼすのか計り知れないところですが、良い影響であることを願うばかりです。

※ “本もろこ南蛮酢漬け”“えび豆”などは「湖島婦貴の会」の屋台(漁港会館前)および通信販売でお買求めいただけます。
詳しくはこちら・・・ 

 今年も盛況♪ “沖島 桜まつり”
 今年も毎年恒例となりました漁協婦人部“湖島婦貴の会”主催の“沖島 桜まつり〜桜色の島で桜ウォーク&郷土料理♪(4月6日〜4月14日)を開催いたしました。
 今年は4月の初めに雪が舞うなど、気温が安定せず開花に影響があるのではと心配されましたが、桜まつり初日には五部咲きとなり、その後の暖かさも手伝って9日頃にはほぼ満開となりました。昨夏の相次ぐ台風により桜の枝が痛み、枝切り等を行ったため、咲き具合が心配されておりましたが、例年通りとはいかないものの今年も沖島を桜色に染めてくれました。
 期間中は暖かな日が多く、テレビで紹介されたこと等もあって、土日はもちろんのこと平日にも多くの方々にご来島いただきました。“お花見広場へ上られる方”、“漁港近くで郷土料理を楽しまれる方”、“島の西側「桜のトンネル」などウォーキングを楽しまれる方”など、様々な形で沖島の春を満喫していただけたことと思います。
 また、湖島婦貴の会の屋台では、桜まつり恒例の“お花見セット”をはじめ、“沖島うどん”や“沖島産の天ぷら”、“八朔ピール”、“八朔ゼリー”なども販売させていただきました。どれもご好評をいただき、多くの方に“沖島の味”をご賞味いただけましたこと、感謝申し上げます。
 また、祭り期間中、沖島通船の定期船が修理中のため、代替船にて運航させていただいており、ご来島いただいた多くの方々にご不便をお掛けいたしましたことお詫び申し上げます。
 こうして“春のイベント”として定着してきた“沖島 桜まつり”をはじめ、年々、多くの方々が島を訪れてくださるようになりました。それに伴い、少しずつではありますが、島の西側(桜のトンネル)の安全柵、漁協会館近くの空き地に制作中の“休憩所”など、島の環境整備も進んできております。日本の淡水湖に浮かぶ唯一の“暮らしのある島”として、今後も島民の暮らしを守りながら、みなさまにもより一層楽しんでいただけるよう、環境整備などの課題に取り組んで参りたいと思います。

“桜のトンネル”
“漁協会館近くの休憩所” “沖島漁港周辺”
※ 桜の写真は「イベント情報−桜アルバム」で、ご覧いただけます。


 “瀛津島神社”修復されました♪
 昨年の夏、台風21号により“瀛津島神社”近くの椎の木が倒れ、本殿と拝殿がその倒木により被害を受けました。その後、再建を願い修復作業が続けられ、この春(4月8日)、本殿と拝殿の修復が完了いたしました。
 “瀛津島神社”は、その歴史は古く和銅5年(西暦712年)、元明天皇の勅使のもとで藤原鎌足の子、右大臣淡海公藤原不比等により、航海の安全と五穀豊穣、水火の避難を祈願するため、社殿が創立されました。
 それ以来、現在に至るまでに幾度かの修復を重ねながら、沖島の高台から島の暮らしを見守り続けて下さっています。そして、これからも島民の心のよりどころとして、静かに見守り続けて下さることでしょう。

《参考資料》 「沖島物語」 西居正吉 著

 “沖島通船”体制見直しへ…
 今年1月下旬の沖島通船衝突事故につきましては、大変なご迷惑とご心配をお掛けいたしましたこと、改めてお詫び申し上げます。また、定期船の修理中は代替船にて運航させていただき、ご来島下さる方々にはご不便をお掛け致しましたこと、併せてお詫び申し上げます。
 沖島通船(沖島自治会運営)では、この事故を受け、より一層の安全運航を心がけることはもとより、「定年制」を引くなどの体制の見直しを進めております。
 また、現在は定期船の修理が完了し、通常通り、定期船にて運航させていただいております。
 これからもご来島下さる方々が安全にお越しいただけるよう、より一層安全運航に努めてまいります。

 沖島遊覧船“もんてクルーズ”始動!
  暖かな春の訪れとともに『沖島遊覧船“もんてクルーズ”』も始動いたしました。“もんてクルーズ”は「離島振興法」に基づき発足した「沖島町離島振興推進協議会」が中心となって運営するもので、漁協もその一員として参画し運航に協力してしております。
 
これからの季節、新緑とともに島民ガイドから沖島の歴史などを聞きながら“一周40分の小旅行”はいかがでしょうか♪
 
詳しくは「イベント情報」のページをご覧くださいませ。

〜〜春の風物詩〜〜〜〜〜 ここからは例年の“春の沖島”の様子をご紹介しております
小アユ漁
 小アユ漁は、“細目小糸漁”とよばれる刺し網漁で4月ごろから盛んになります。沖島では、刺し網にかかった魚を独特の方法ではずします。漁船に高く組まれた足場に網を掛け、その網を振るって魚をはずすのです。他で見られることもありますが、この方法は沖島発祥の方法です。そのため、この漁が始まる頃になると、漁船に高い足場が組まれはじめ、まさに沖島の春到来を告げる風景といえます
 また6月の決められた期間ですが、今はあまり行われない“沖すくい網漁”も行われます。沖すくい網漁とは漁船の舳先にとりつけた大きな網で、アユの群れごと、すくい取る漁法です。熟練を要する漁法です。
塩切り鮒の仕込み

 “塩切り鮒”とは「ふなずし」の材料となるもので、春に獲った琵琶湖産の天然“ニゴロブナ”を丁寧にウロコと内臓を取り、3ヵ月程度塩漬けにしたものです。このころの鮒は卵を抱えており、「ふなずし」の中でも特に美味とされています。
 毎年、春が来ると、“塩切り鮒”の仕込み作業が始まります。水揚げされたばかりのニゴロブナを傷つけないように仕込むのは、とても手間のかかる作業ですが、美味しい「ふなずし」を作るには、手の抜けない重要な工程のひとつです。

  “内臓部分は、卵を傷つけないように、えらのところから取り出します。”

 
 
“塩切り鮒”の予約販売を行っています。
 詳しくは、こちらの
“ここをクリック””を
ご覧ください
 
沖島の桜
 沖島の桜の開花は、少し遅めで毎年4月に入ってから咲き始めます。今年は4月5日頃から咲き始め、9日ころにはほぼ満開でした。(撮影日:H31.4.9 )
 島では、あちらこちらで桜が楽しめますが・・・特に西福寺を抜けて島の西側の桜並木は見事です。またケンケン山の登山道にある“お花見広場”では、お花見をしながら比良山系・比叡山を望む景色が楽しめます。
沖島春祭り

 沖島では毎年5月に“春まつり”が行われます。昔から島民が集う行事のひとつで春まつりの頃になると、島から離れて暮らす家族がみな集まり、お正月さながらの賑わいになります。
 お祭りは、前日の夜の“宵宮うつし”から始まり、島の神様“瀛津島神社”の本殿にお祭りするため、神輿倉からお神輿と太鼓を持って上がります。 次の日の祭り当日、14時頃からお神輿を担いでお宮さんから下がり、町内をねり歩き、神輿倉へと向かいます。昔は、天気が良いとお神輿を船に乗せ休暇村まで往復しましたが、最近は安全に配慮して行われなくなりました。
 こうして、16時頃には神輿倉に収め、公園では“なおらい”が始まります。
 昔から春のお祭りになると“ゆぐみだんご”を作ったり、沖島で採れた山菜、筍を使って“煮しめ”を作ったりして家族みんなでいただきます。“ゆぐみだんご”とは、餡の入ったよもぎだんごのことで、沖島の昔ながらの呼び名です。
 また、最近は祭りの次の日に子ども会の呼びかけで、“ケンケン山”へ登り、昼食会をする催しも始まりました。
 このように、昔とは少しずつ様変わりしながらも、沖島の大事な行事のひとつとして受け継いで行きたいと思います。

〜〜春の味覚〜〜〜〜〜
“小アユ”
 琵琶湖のアユは、春に琵琶湖から川をのぼって大きくなるアユと、琵琶湖で生活して大きくならないアユがいます。大半はこの大きくならないアユで、小アユと呼ばれ、春に漁の最盛期を迎えます。
 小アユは、佃煮として食されるのが一般的ですが、島では、天ぷら、唐揚げ、南蛮漬けなどにしても頂きます。小ぶりなので骨が柔らかいのは元より、アユ独特の風味もしっかり味わえる逸品です。
※小アユの佃煮(若煮)は漁協会館前の「湖島婦貴の会」屋台または通販でお買い求めいただけます。
“鮎山椒入り若煮”
“山菜・たけのこ”   
 沖島では、“山菜”は4月から、“たけのこ”は5月頃から出始めます。
 「煮物」にして頂くのが一般的で、山菜に小芋・ニシン(または油揚げ、棒だら)・たけのこ・ふき・赤こんにゃくなど5品くらいを一緒に炊いて頂きます。
“蕨(わらび)”
“よもぎだんご”
 沖島に自生している“よもぎ”を摘んで作ります。中は餡子の丸いおだんごです。また、“さとだんご”と言われるもち粉によもぎと黒砂糖を入れて練ったおだんごも春の沖島の味です
《参考文献》
・ 「琵琶湖の幸 読本」 平成19年9月発行 滋賀県漁業協同組合


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