夏の沖島    2020年度・夏 
 この春、新型コロナウイルスの影響により「沖島 桜まつり」も中止となるなか、例年以上に見事に満開となり、島民を優しく包み込むかのように和ませてくれた桜も、夏空に映える青々とした葉を茂らせ、今度は島民に力を与えてくれるかのように沖島に夏の到来を告げてくれています。
 今年は記録的な豪雨により被害にみまわれる地域がでるなど、全国的にも雨の多い夏の始まりとなりましたが、沖島でも雨の日が多多く、毎年恒例となりました「ふなずし手作り講習会」も、ほぼ毎回雨降りのなかでの開催となりました。このような状況下、講習会を無事に開催できましたことに感激する一方、毎年恒例の「夏祭り」は中止が決定するなど、一喜一憂する夏になりそうです。そんな沖島からこの夏の話題をお届けします♪
 
令和2年・夏の話題

 今年も開催できました『ふなずし手作り講習会』

 今年も御好評をいただいております『ふなずし手作り講習会』を琵琶湖汽船との共同企画で、7月8・10・12・14・16・18日に開催致しました。今年は新型コロナウイルス感染対策のため、漬込み樽数を例年の半分以下に縮小し、会場内の密を避けるため開催人員も制限し、会場内でのマスク着用、換気の徹底、アルコール消毒の設置など万全を期しての開催となりました。また、開催規模縮小に加え、お申込み多数につき、ご希望に添えず多くの方々にご理解とご了承をいただきましたこと、改めて感謝申し上げます。


“今年の塩切り鮒”
 今年も“ニゴロブナ漁”が引き続き不漁だったことから、講習会用の塩切り鮒が充分に確保できるか懸念されておりましたが、今年は開催規模の縮小により必要量が少なかったこともあり、質もよく大きさも揃った物をご用意することが出来ました。
 講習会は、今年もリピーターの方々が多く、手つきの慣れた方々も多いため、初めての方にはスタッフが付きっ切りでお手伝いできるなど、各回とも大変スムーズに和やかな雰囲気のなか、講習会を進めさ
せていただくことができました。また、リピーターの方が多いことから、毎年講習会の開催を待ってくださっているのでは・・・♪と、嬉しく思うとともに講習会を続けていくことの大切さを実感させていただきました。
 講習会の内容は、毎回10:20頃より始まり、午前中は塩切り鮒を洗い(磨き)、吊るし干しする作業をしていただきます。乾かしている間、昼食をとっていただき、午後(13:30)から漬け込み作業をしていただきます。15時までには漬け込み作業が完了し講習会終了となります。
 昼食タイムは、例年は漁協会館2階を昼食会場とし、沖島の味満載の定食や焼きながら提供する“本もろこの素焼き(有料)”などをご賞味いただいておりましたが、今年は新型コロナウイルス感染対策もあり、“沖島の味満載のお弁当(有料・要予約)”としてご用意させていただき、調理しながらの提供も中止させていただいたため、“ふなずし&はすの一夜干しの盛り合わせ(無料)”を付けさせていただきました。お弁当ということもあり、屋外でお弁当を楽しまれる方もお見えになりました。

◆ お品書き ◆


ビワマスのホイル焼き ポン酢仕立て
ブラックバスのフライ タルタルソース添え
小アユの南蛮酢漬け
うろりの若煮
沖島産きゅうりとスジエビの酢の物
沖島のキューちゃん漬
沖島産プチトマト

 昼食タイムの“沖島の味満載のお弁当定食”

“ふなずし&はすの一夜干し”

 鮒ずしを漬け込んだ樽は、お持ち帰りしていただくか、または漁協にて保管(有料)させていただきます。保管させていただいた樽は、食べ頃になった頃に樽から鮒ずしを取り出し、真空パックにしたものをダンボールに入れてご自宅へお送り致しております。鮒ずしは発酵食品ですので少しずつ発酵が進みますが、真空パックで冷凍保存していただけば、食べ頃の状態のまま長期保存ができます。年々、漁協での保管を希望される方も増えており、より手軽に鮒ずし作りを楽しんでいただけるのではないでしょうか♪
 『ふなずし手作り講習会』も今年で12年目を迎えました。今回は新型コロナウイルスの影響でギリギリまで開催するかどうかを迷っておりましたが、6月19日に県外への自粛要請も解除されたこと、講習会に必要な塩切り鮒も確保できたこと、そして何より開催を途切れさせたくないという思いから、開催することを決断致しました。これまで12年間、試行錯誤を重ねながらも続けて参りましたが、今年はこれまでにも増して続けていくことの大変さを実感いたしました。同時に新型コロナウイルスの影響により開催規模の縮小や感染対策などのご協力をお願いする中での開催にも関わらず、大変多くのお申込みをいただいたことは、今後、開催していく上での大きな励みとなりました。これからも出来る限り続けていけるように、そして、この講習会を通して琵琶湖の伝統と恵みを次世代に引き継ぐ担い手として少しずつでも貢献できるよう、模索してまいりたいと思います。


 “塩切り鮒”の追加販売を行います♪
〜 「現代のライフスタイルや住環境に考慮した漬け込み方法」ご紹介します♪ 〜
 「ご家庭で“鮒ずし”を漬けてみませんか♪
 “鮒ずし”は滋賀県を代表する名産品で、湖国を代表とする食文化として滋賀県の無形民族文化財にも指定されています。昔は家庭で鮒ずしを漬けることは一般的なことでしたが、漬け込みには熟練した勘と手間が必要なことや漬け込んでいる間に出る臭いなど、現代のライフスタイルや住環境では難しいことや独特の香りがあるなどのイメージから、「高価な嗜好品」となりつつあります。
 沖島漁協では、ご家庭でも手軽に“鮒ずし”を漬けていただけるよう、鮒ずし作りの工程で最も手間のかかる塩切り(塩漬け)までしたもの“塩切り鮒”を予約販売しております。塩切りまでしてありますので、後は夏の暑い日(9月頃まで可能)に漬け込みしていただければ、年末年始頃には美味しい“鮒ずし”を召し上がっていただけます。今年はこの“塩切り鮒”を
特例的に追加販売させていただいております。ぜひ、この機会に“鮒ずし”を漬けてみませんか♪
 また、今回、ご家庭で手軽に鮒ずしが作れる
「現代のライフスタイルや住環境に考慮した漬け込み方法」をご紹介いたします。この『漬け込み方』は、県水産課の方が湖国を代表する食文化がすたれてしまうという危機感と復活させたいという熱い思いから、何年も試行錯誤を重ね、編み出した漬け込み方です。この方法は漁協が開催しております「ふなずし手作り講習会」でも行っている漬け込み方です。漬け込みには漬物用のプラスチック樽とビニール袋を用い、漬け込んでから一度も樽の蓋を開けずに発酵・熟成させていきますので、外部への匂いの発生がほとんどなく、水替えの手間や臭いを心配することなく、漬けていただくことが出来ます。
※ 下記の写真は大まかな手順です。漬け込み方はこちらで紹介しております・・・【漬け込み方】

“塩切り鮒の磨き作業”

“磨いた鮒を丁寧に洗います”

“水気を拭いて干します”
“一匹ずつご飯を詰めます”
“一匹ずつ重ならないように並べます”

“ビニール袋を閉じ密閉します”
 また、この方法で漬け込んだ“鮒ずし”は「鮒ずし独特の香り」と称される香りも抑えられ、食べやすいのが特徴です。「ふなずし手作り講習会」でも、この漬け込み方を多くの方にに知っていただきたいと、第1回目から変えることなくこの方法で行ってきました。リピーターの方が年々増えていることは、この漬け込み方が受け入れられ、その美味しさを実感していただいているからではないでしょうか。「ご飯のところがチーズみたい♪」とか「ワインにも合う♪」などのお声も頂いております。ご家庭で漬けられる方も多くなり、“塩切り鮒”の予約販売も年々好評を頂いております。ぜひ、この機会にお試しくださいませ。
※ “塩切り鮒”の追加販売についてはこちらをご覧下さい・・・『塩切り鮒予約販売』

 この“夏の漁”は・・・

 今年の梅雨は、記録的な豪雨が観測されるなど全国的に雨量が多かったことから、琵琶湖の水位への影響も心配されましたが、一時的に水位が上がったものの下がるのも早かったため、心配されるような影響もなく夏の漁が始まりました。

“ホンモロコの南蛮酢漬け”
 春から引き続き“小アユ”、“ホンモロコ”、“スジエビ”は順調でこの夏も平年並みに成育していると思われます。
 “小アユ漁”は“小糸漁”という刺し網漁が主ですが、この時期は“すくい網漁”という漁法も行われます。文字通り小アユをすくって獲る漁法ですが、今年は水温などの影響か、小アユがあまり浮かび上がって来ないようで、すくい網漁ではあまり獲れないようです。
 “ホンモロコ漁”は引き続きよく獲れる状況が続いています。この状況は外来魚の駆除や稚魚の放流などが功を奏し天然ふ化にもつながっていっているのではないかと思います。新聞記事にも「産卵〜成長のサイクルが安定してきたのでは・・・」と取上げられ、数値的には2004年の漁獲量5tだったものが2018年には30tまで回復しているとのことです。
(2020年7月14日付「讀賣新聞」より)
 “スジエビ漁”も順調で、最近は業者から「釣りエサ」としての注文が多くなり、需要も増加しています。
 その一方で“ブラックバス”などの外来魚の漁獲量は減少してきており、以前は琵琶湖全体で500tほどあったものが昨年の報告では100tをきったということです。
 最近のこのような琵琶湖の漁の様子から感じることは、漁業においては、琵琶湖の環境は回復の兆しにあるのではないかということです。というのも、外来魚の減少は駆除事業の成果がてでいるのはもちろんのこと、併せて琵琶湖自体が外来魚にとって住みにくい環境になってきていること、その結果、外来魚が減少し、ホンモロコ”など琵琶湖固有種への食害も減り、成育状況が回復してきているのではないかと推測できるからです。しかしながら、“ニゴロブナ”に対しては、この推測が成り立ちません。何故なら“ニゴロブナ”だけは、ここ2、3年不漁続きで成育状況が回復してきていないからです。このことから“ニゴロブナ”に関しては外来魚による食害の影響よりも餌として好んで食べるプランクトンの減少が大きな原因ではないかという推測が妥当であり、このプランクトンが増えてこないことには“ニゴロブナ”の回復は望めないのではないでしょうか。ニゴロブナにとっては琵琶湖の環境はまだまだ住みにくいようです。
 春から続いている漁のほかに、夏の到来とともに盛んになる“ビワマス漁”、“ウロリ漁”も始まりました。“ウロリ漁”は7月20日から始まり、今のところ(7月末時点)水揚げ量は低調となっています。水揚げされたものをみると、まだ小さくふ化したばかりではないか思われ、漁網の網目から抜け出してしまうため、一網打尽にすることが難しく量的に少なくなってしまっているのではないでしょうか。しかし、尾数的には多いと思われます。また、“ビワマス漁”も量的には少ないものの、順調な始まりで形の良いものが獲れています。この二つの漁は始まったばかりで移行期にあり、一般的に移行期には漁師の足並みや業者との足並みも揃わないため、その湖魚の成育状況まではつかみづらいのが現状ですが、両者とも平年並みに獲れるようになるのではと期待されます。
 
“ビワマスの刺身「琵琶湖のトロ」”

 今回、湖魚の成育状況を観点に、この夏の漁の様子をご紹介してまいりましたが、湖魚の成育状況と水揚げ量は必ずしも比例せず、湖魚の成育が順調なら水揚げ量も多いというわけにはいかないのが現状です。現に沖島漁協の水揚げ量は例年のこの時期に比べ減少しています。これは、湖魚の需要が減少してきており、獲っても売れない状況で、漁師のモチベーションも低下していることが要因となっています。湖魚の需要が減少してきていることは以前もホームページ上で「話題」として取り上げて来ましたが、最近、新聞でも取り上げられ「需要低迷の背景には、煮炊きを敬遠し、手の込んだ加工品を好む食生活の変化や、新型コロナウイルスによる飲食店の休業などで、供給を受け止めきれない市場の狭さがある。固有魚の強みを生かし、県民にこそもっとおいしさを売り込み、需要を掘り起こす地道な努力が必要であり、流通を増やす方法を模索している(一部略)」(2020年7月14日付「讀賣新聞」より抜粋)と掲載されていました。
 このような状況は、今後の沖島の漁業にとっても大きな懸念材料であります。
そのため、琵琶湖の湖魚にもっと目を向けていただけるような情報発信に努め、その魅力をより多くの方々に知っていただけるような取り組みに力を入れております。具体的には、これまでにも行っております『ふなずし手作り講習会』の開催や漁協婦人部“湖島婦貴の会”による『湖魚料理(Kokocool MOTHERLAKE SELECTION 2017”に選定)などの島内販売や通信販売、イベントなどでの販売に加え、今年は新たに期間限定ではありますが、滋賀県の『“地産地消”宅配料100円キャンペーン』に参加し、湖魚の佃煮など全国どこでも宅配料100円でお届けする試みも行っております。
 「湖魚の需要の高まり」が「より良い資源(湖魚)を増やす努力」につながり、そのためには「琵琶湖の環境改善・保全」に努めるというサイクルが、母なる湖“琵琶湖”を守り、伝統を継承していくことにつながっていくと信じて取り組んで参りたいと思います。
《参考文献》2020年7月14日付「讀賣新聞」

※ 沖島漁協婦人部“湖島婦貴の会”および湖魚料理の通信販売については、『沖島漁協婦人部“湖島婦貴の会”』および『沖島“家庭の味”宅配便』をご覧ください。


 9月30日まで、宅配料100円キャンペーンやってます♪

地産地消宅配料 100円キャンペーン
対象期間2020年7月1日〜9月30日
  沖島漁業協同組合女性部“湖島婦貴の会”では、『滋賀のおいしいコレクション』企画の“いまだから地産地消宅配料100円キャンペーン”に参加事業者・店舗として参加させていただいております。2020年7月1日から新たにお届け先の範囲を拡げ、滋賀県内限定ではなく県外も対象とさせていただくこととなりました。
 
“沖島家庭の味”を日本全国どこでも宅配料100円(対象期間2020/7/1〜9/30)でお届け致します。ぜひ、この機会にご賞味くださいませ。
 詳しくはこちらから・・・『“地産地消”宅配料100円キャンペーン』

  

 沖島の夏は、初夏の頃から、ビワマス、ウナギ漁が始まり、7月に入ってウロリ漁も最盛期を迎えると、いよいよ夏本番です。  
“カラフルな漁網”
 漁網の手入れは日々行いますが、漁網の染色は、夏の暑い時期に行います。夏の日差しが染色した漁網をよく乾かしてくれるからです。
 最近は、カラフルな色に染め上げるのが流行で、港のあちらこちらに漁網のカラフルな花が咲きます。夏到来を告げる風景のひとつです。

 
“ふな寿司の漬け込み”
 夏の土用の暑い日に鮒寿司の漬け込みをします。春に卵を抱えた“ニゴロブナ”をウロコと内臓を取って塩漬けしておいたものを、いよいよ米飯で漬け込むのです。
 夏の土用の頃に行うのは、ふな寿司は最初に発酵を進めることが重要で、この夏の暑さが最適だからです。
 こうして、漬け込まれたふな寿司は、11月下旬〜年末年始にかけて食べ頃を迎えます。

 今年も“ふな寿司の手作り講習会”を行いました。写真をクリックすると講習会(H21年度開催)の様子が御覧いただけます。
“ここをクリック” 
      《桶に漬け込まれていくふな寿司》
  写真をクリックして下さい

夏ならではの味  

  “ウロリの若煮(佃煮)”&“ウロリの釜揚げ”
 夏に漁の最盛期を迎える“ウロリ”は、“ゴリ(ヨシノボリの稚魚)”のことで、この辺りでは“ウロリ”と呼びます。成魚になっても1.5cmくらいのそうめんのように細く白い小魚です。
 “ウロリの若煮”は、沖島で水揚げされたウロリを昔から沖島の漁師の家庭に受け継がれている炊き方で炊き上げたものです。佃煮より短時間で炊き上げるので、柔らかく、また水飴等も使わないので、甘辛くてもあっさりとした味に仕上がります。
暑くて食が進まない時にも、ご飯が進む一品です。
 “ウロリの釜揚げ”は、ウロリが新鮮なうち(水揚げされて1時間以内)に釜揚げにしていただきます。ウロリは鮮度が落ちるのが早く、まさに漁の最盛期を迎える夏にしか味わえない一品です。
※“ウロリの若煮”は漁協婦人部湖島婦貴の会の屋台(漁協会館前)で販売中です
“うなぎの蒲焼き・白焼き” 
 琵琶湖産天然うなぎは、特大サイズのものが多く、肉厚で脂がとても良くのっています。夏のこの時期は、蒲焼き・白焼きが絶品です。
 特に白焼きは、うなぎ本来の味を楽しむことができます。また、ポン酢・生姜醤油で味わうのも、さっぱりしていて暑い夏にピッタリの一品です。


  
 《うなぎを炭火で焼いています》


         《ビワマスの刺身の調理例》

“ビワマスの刺身”
  初夏の頃から、ビワマスの漁が始まりますが、夏のビワマスは特に脂がのっています。
 この時期の新鮮なビワマスを、お刺身でいただくと“トロの刺身”といえるほどの味わいです。
“うなぎのじゅんじゅん”
 “じゅんじゅん”とは、この地方で言う“すき焼き”のことです。作り方は一般のすき焼きと同じですが、肉類等のかわりに“うなぎ”を入れます。食べ方も一般的なすき焼きと同様、溶き卵にからめたりして頂きます。
 また家庭では、写真のようにいろいろな具材を入れるのではなく、玉ねぎとうなぎだけですき焼き風にしたりもします。


 《うなぎのじゅんじゅんの調理例》

《参考文献》
「琵琶湖の幸 読本」 平成19年9月発行 滋賀県漁業協同組合

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