夏の沖島    H29年度・夏 

 春、見事に満開の姿をみせてくれた桜も、夏空に映える青々とした葉を茂らせ、暑さに負けない力強さを感じさせてくれています。
 夏到来を告げる“うろり漁”も始まり、沖島の夏もいよいよ本番を迎えました。
 そんな夏の沖島より、今年の話題をお届けします♪
 
      
平成29年・夏の話題
 
 沖島の夏! 漁も夏本番です♪


炭火で“ビワマスの塩焼き”
 沖島の夏が始まりました。島の風景も新緑あふれる夏の風景に様変わりし、夏の漁を代表する“ビワマス漁”、“うろり漁”も始まりました。
 
ビワマス漁は初夏(6月初旬)から始まりますが、開始当初はなかなか獲れず不漁が続いていましたが、7月に入って少しずつ獲れるようになってきています。サイズも例年通りのものが水揚げされており、夏に獲れるビワマスは特に脂がのって、“琵琶湖のトロ”と称されるほど美味です。お刺身のほか煮付け、塩焼きなどもしっとり柔らかに仕上がり、お刺身とは違う味わいを楽しむことができます。

炭火で“うなぎの蒲焼”♪
 また、“スジエビ漁”は、前半、水揚げが少なかったのですが、7月中旬頃から獲れるようになり例年並みの水揚げまで回復して来たように思われます。“ウナギ漁”獲れるものの相変わらず極端に少ないため高値が続いています。解禁を迎えた“うろり漁”は昨年は極端に不漁でしたが、今年は解禁初日、例年より多い水揚げがありました。これから先の漁場の状態にもよりますが、見通しを含めて今年は例年並み以上の水揚げが期待されています。

“うろり若煮”
 そのほか、「春の沖島 平成29年・春の話題」として取り上げた“小アユ漁の不漁”は危機的な状況は脱したものの、水揚げ量が戻るまでには至っていません。今までにないこのような状況は、推測ではありますが…例年、アユは9月初旬から中旬にかけて産卵し12月頃“氷魚”となります。ところが昨年はその頃、川に水が少なかったことで産卵が10月頃にずれ込み、一気に産卵したため、稚魚の時に餌が足りず育たなかったのではないかと言われています。現に水揚げされた小アユを見ると、例年より痩せていて頭が大きく体が細いように感じられ、栄養不足で育ったのでは…と思われます。
 また、今年は“本もろこ”がエリ漁やタツベ漁によく入ってきています。これは琵琶湖に“本もろこ”が増えてきているからはないか…と期待が膨らみます。
 このような夏の漁の様子をみると、全般的に漁の時期がずれてきているように思われ、予測のつかないことが多くなってきているように思います。少しの環境の変化が予測のつかない現象につながっていくことを実感させられている夏です。
※沖島漁協婦人部「湖島婦貴の会」では、“沖島産天然うなぎのうな丼”(要予約)などのお食事、湖魚の佃煮などを販売しております。ぜひお立ち寄りくださいませ。詳しくはこちらから・・・“湖島婦貴の会”

 今年も大盛況♪ 『ふなずし手作り講習会』

 今年も、御好評をいただいています『ふなずし手作り講習会』を琵琶湖汽船との共同企画で、7月7・9・11・13・18・20・24日に開催致しました。毎回、定員いっぱいとなる多くの方々にご参加いただき、ありがとうございました。年々、リピーターの方々の参加が増え、イベントとして定着してきたことを実感させていただく一方、若い方のグループや外国の方にもご参加いただき、講習会が琵琶湖の伝統文化をお伝えできる機会にもなってきていることを実感させていただきました。
 今年の講習会は、新しい試みとして講習会の始めに「ラジオ体操」を取り入れてみました。参加者・スタッフ全員で体をほぐすととも心もほぐれ、講習会もリラックスした雰囲気で進めさせていただくことができました。
 講習会は、毎回10:20頃より始まり、午前中は塩切り鮒を洗い(磨き)、物干しに干す作業をしていただきます。乾かしている間、昼食をとっていただき、午後(13:30)から漬け込み作業をしていただきました。昼食タイムには、今年も“沖島どんぶり(ビワマスの刺身・沖島産野菜サラダ・ビワマスのアラ汁・湖魚の若煮・沖島産八朔ゼリー付き)”(要予約)をご賞味いただき、沖島の味をゆっくり楽しんでいただける一時を過ごしていただけたと思います。
 今年の鮒は、少し大きめのものもありましたが、全般的に大きさは標準的であるものの、たっぷり卵を持った卵の持ち方の良いものが多かったので、出来上がりも楽しみです。

“塩切り鮒の磨き作業”

“今年は卵をたっぷり持っています”

“磨いた鮒を丁寧に洗います”

“水気を拭いて干します”

“一匹ずつご飯を詰めます”

“昼食タイムの沖島どんぶり”
 鮒ずしを漬け込んだ樽は、お持ち帰りしていただくか、または漁協にて保管(有料)させていただきます。保管させていただいた樽は、食べ頃になった頃に樽から鮒ずしを取り出し、真空パックにしたものを段ボールに入れてご自宅へお送り致しております。鮒ずしは発酵食品ですので少しずつ発酵が進みますが、真空パックで冷凍保存していただけば、食べ頃の状態のまま長期保存ができます。年々、漁協での保管を希望される方も増えており、より手軽に鮒ずし作りを楽しんでいただけるのではないでしょうか♪
 “ふなずし”は琵琶湖の伝統食でありますが、最近、
「ふなずしは脂肪燃焼・持久力向上に効果あり(中日新聞)」と新聞記事で取り上げられるなど、発酵食品として注目されてきております。独特のにおいで敬遠されることもありますが、沖島の『ふなずし手作り講習会』で漬けた“ふなずし”は匂いも少なく“食べやすい♪”、“ご飯のところがチーズみたい”とご好評をいただいております。また、沖島漁協の販売する『漁師のふなずし』は講習会と同じ漬け方で漬けておりますので、ぜひ一度ご賞味くださいませ。

“漁師のふなずし”
 こうして、注目されつつある琵琶湖の伝統・恵みを次世代に受け継いでいく機会として、講習会を続けていけるよう、今後も取り組んで参りたいと思います。

※『漁師のふなずし』は今年(H29)の秋頃、今年漬けた新物を販売する予定です。(写真はイメージです)


 嬉しい出来事がありました♪

 「ふなずし手作り講習会」を始めて今年で9年目を迎えますが、今年は滋賀県知事がプライベートで「ふなずし」の漬け込み体験をされました。「ふなずし手作り講習会」の開催日程とはスケジュールが合わなかったため、22日にご夫婦で沖島にお越しになり「ふなずし」を漬けていかれました。
 沖島漁協としては、県知事自らが滋賀県の無形民俗文化財でもある「ふなずし」を手作りされたことに大変喜びを感じるとともに、いろいろな漬込み方がある中で沖島漁協が薦めてきた漬込み方を選んでいただいたことを嬉しく思っております。
 沖島漁協が「ふなずし手作り講習会」で薦めてきた漬込み方は、「琵琶湖の伝統食である“ふなずし”をご家庭でも手軽に漬けていただきたい♪」という思いから薦めてきた方法です。この漬込み方は沖島で古くから行われている漬け方を発展させた漬込み方で、漬け込んでから一度も桶の蓋を開けずに発酵・熟成させていきます。また、この漬込み方は漬物用のプラスチック桶とビニール袋を用いますので、外部への匂いの発生がほとんどなく、水替えの手間や臭いを心配することなく、御家庭で“鮒ずし”を漬けていただくことが出来ます。
 このように、ご家庭で手軽にふなずし作り楽しんでいただくことで、昔から家庭で食べられてきた琵琶湖の発酵食品“ふなずし”を、再びより身近な発酵食品として食生活に取り入れていただけたら…♪と思います。

  

 沖島の夏は、初夏の頃から、ビワマス、ウナギ漁が始まり、7月に入ってウロリ漁も最盛期を迎えると、いよいよ夏本番です。  
“カラフルな漁網”
 漁網の手入れは日々行いますが、漁網の染色は、夏の暑い時期に行います。夏の日差しが染色した漁網をよく乾かしてくれるからです。
 最近は、カラフルな色に染め上げるのが流行で、港のあちらこちらに漁網のカラフルな花が咲きます。夏到来を告げる風景のひとつです。

 
“ふな寿司の漬け込み”
 夏の土用の暑い日に鮒寿司の漬け込みをします。春に卵を抱えた“ニゴロブナ”をウロコと内臓を取って塩漬けしておいたものを、いよいよ米飯で漬け込むのです。
 夏の土用の頃に行うのは、ふな寿司は最初に発酵を進めることが重要で、この夏の暑さが最適だからです。
 こうして、漬け込まれたふな寿司は、11月下旬〜年末年始にかけて食べ頃を迎えます。

 今年も“ふな寿司の手作り講習会”を行いました。写真をクリックすると講習会(H21年度開催)の様子が御覧いただけます。
“ここをクリック” 
      《桶に漬け込まれていくふな寿司》
  写真をクリックして下さい

夏ならではの味  

  “ウロリの若煮(佃煮)”&“ウロリの釜揚げ”
 夏に漁の最盛期を迎える“ウロリ”は、“ゴリ(ヨシノボリの稚魚)”のことで、この辺りでは“ウロリ”と呼びます。成魚になっても1.5cmくらいのそうめんのように細く白い小魚です。
 “ウロリの若煮”は、沖島で水揚げされたウロリを昔から沖島の漁師の家庭に受け継がれている炊き方で炊き上げたものです。佃煮より短時間で炊き上げるので、柔らかく、また水飴等も使わないので、甘辛くてもあっさりとした味に仕上がります。
暑くて食が進まない時にも、ご飯が進む一品です。
 “ウロリの釜揚げ”は、ウロリが新鮮なうち(水揚げされて1時間以内)に釜揚げにしていただきます。ウロリは鮮度が落ちるのが早く、まさに漁の最盛期を迎える夏にしか味わえない一品です。
※“ウロリの若煮”は漁協婦人部湖島婦貴の会の屋台(漁協会館前)で販売中です
“うなぎの蒲焼き・白焼き” 
 琵琶湖産天然うなぎは、特大サイズのものが多く、肉厚で脂がとても良くのっています。夏のこの時期は、蒲焼き・白焼きが絶品です。
 特に白焼きは、うなぎ本来の味を楽しむことができます。また、ポン酢・生姜醤油で味わうのも、さっぱりしていて暑い夏にピッタリの一品です。


  
 《うなぎを炭火で焼いています》


         《ビワマスの刺身の調理例》

“ビワマスの刺身”
  初夏の頃から、ビワマスの漁が始まりますが、夏のビワマスは特に脂がのっています。
 この時期の新鮮なビワマスを、お刺身でいただくと“トロの刺身”といえるほどの味わいです。
“うなぎのじゅんじゅん”
 “じゅんじゅん”とは、この地方で言う“すき焼き”のことです。作り方は一般のすき焼きと同じですが、肉類等のかわりに“うなぎ”を入れます。食べ方も一般的なすき焼きと同様、溶き卵にからめたりして頂きます。
 また家庭では、写真のようにいろいろな具材を入れるのではなく、玉ねぎとうなぎだけですき焼き風にしたりもします。


 《うなぎのじゅんじゅんの調理例》

《参考文献》
「琵琶湖の幸 読本」 平成19年9月発行 滋賀県漁業協同組合

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