“鮒ずし”は、滋賀県を代表する名産品で滋賀県の無形民族文化財にも指定されています。
ここで、ご紹介する“漬け込み方”は
「現代のライフスタイルや住環境に考慮した漬け込み方法」として編み出された方法です。漬け込みには漬物用のプラスチック樽とビニール袋を用い、漬け込んでから一度も樽の蓋を開けずに発酵・熟成させていきますので、外部への匂いの発生がほとんどなく、水替えの手間や臭いを心配することなく、漬けていただくことが出来ます。出来上がった“鮒ずし”は芳醇な柔らかな香りで、とても食べやすいと好評です。
 ご家庭で“おいしい鮒ずし”漬けてみませんか♪
◆ 準備していただくもの ◆
◇たわし・・・亀の子たわしの他、金属製のたわしが便利
◇まな板・・・フナを洗うときの台に使う
◇乾いたふきん 数枚・・・キッチンペーパーでもOK
◇「靴下干しハンガー」や「ひもの用のかご」
・・・洗ったフナを吊り下げて乾燥させるのに使用
◇漬物用のラスチック製樽・・・漬けるフナの量にもよりますが大きいものの方が重石が傾かないので良い。
                内蓋は必要
◇漬物用ビニール袋・・・漬物用の樽に敷き詰める。漬物用の樽と一緒に売っている
◇ご飯・・・漬けるフナの量にもよりますが、10キロの米を炊く。多い方が良い
◇酒一合・・・熱処理していない生酒が良い
◇太縄(ツダ)・・・ビニール製の直径1cmくらいの荷造りテープを三本取りで三つ編みして作る
         
※沖島漁協の「塩切り鮒予約販売」を利用される方には、お申し出があれば“太縄(ツダ)”をお分けしております。
◇重石・・・10キロ程度のもの3〜4個
◆ 漬け込み方 ◆
  ☆ 塩漬け(塩切り)しておいた“ニゴロブナ”

 春に獲れた琵琶湖産の天然の“ニゴロブナ”をウロコと内臓を取り、夏の土用の頃(3ヵ月以上)まで塩漬けにしたものです。
 春の“ニゴロブナ”は卵を抱えており、鮒ずしの中でも特に美味とされます。
★ 漬け込み作業は一日10kgが限界だと思います
「ふなずし手作り講習会」では一日の講習で1樽に“ニゴロブナ5kg(15〜20尾)”を漬け込みます。

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@ 塩切りしたフナを丁寧に洗い、磨く。 
 塩切りしたフナの塩を出来る限り、丁寧に流水で洗い流します。
 この時、腹腔内にある卵巣(卵)を流さないように気をつけながら、腹腔内まできれいに塩を洗い流します。(写真左)
 次に「たわし」を使い、流水で魚の表面に残っているウロコを取り除きます。特に背びれ基部、のど元、腹びれの下などウロコが残りやすいので、完全に取り除きます。続いて流水で「たわし」を使い、魚全体が青光りするまで根気よく磨き上げます。(写真右)
※おいしい鮒ずしを漬けるコツは可能な限り“丁寧に洗い、磨くこと”です。
体表の黒っぽい皮は、ほぼ完全に取り除き、頭部、のど元、腹部下面など細部まで磨き、鰓ぶたの裏のぬめりも取り除いてください 
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A 洗ったフナを干して乾燥させる。
 磨き上げたフナを、ふきん等で水分を十分に取り除き、写真のような靴下干しに頭を下にして吊り下げ、風通しが良い日陰で干します。(数時間程度)
★ 「ふなずし手作り講習会」では、この間を昼食タイムとし、漁協婦人部“湖島婦貴の会”手作りの“沖島の味満載の昼食(要予約)”をご賞味いただきます。

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B 米飯をフナに詰める。
 干して乾いたフナにご飯を詰めます。
 まず、手水(お酒)をして、大きなおにぎりを作ります。
 次に樽の中にビニール袋を2重にして入れ、その中に作ったおにぎりを2〜3cmの厚さになるように敷き、よく押さえて均します。
 樽の準備が出来たら、前記のようなおにぎりを作り、フナの腹腔内や
(えら)ぶたの下に詰めます。この時、卵巣(卵)を潰さないように注意して詰めていきます。また(えら)ぶたの下には、ご飯がはみ出すくらいたくさん詰めます。
※ご飯がはみ出すくらいたくさん詰め込むことが重要です。
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C ご飯を詰めたフナを樽に並べて漬け込んでいく。
 ご飯を詰めたフナは、重ならないように並べ、その上に、フナが隠れる程度にご飯を隙間がないように敷き、強く押さえます。続いてその上に先のフナと直角方向(井型状)にご飯を詰めたフナを並べます。
 この作業を繰り返し、何層にもしていきます。(写真左)
 

 最後に、ご飯をかぶせてビニール袋を閉じ、しっかりと押さえます。(写真右)
   


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D “ツダ(太縄)”を樽の内周に沿わせて置く。
 ビニール製のロープを三つ編みにして作った“ツダ(太縄)”を樽の内周に沿わせて置く。これは、発酵が進み水分が出てきたときに内蓋の周りが浮かないようにするために行います。(写真左)

 その上に内蓋をのせます。(写真右)

E 重石をのせ、外蓋をして漬け込み終了。
 重石をのせ、外蓋をして漬け込みは終了です。
 食べ頃を迎えるまでは、蓋を開けません。
 漬け込まれた“鮒ずし”は、11月末〜12月末頃に食べ頃を迎えます。



《参考文献》
「琵琶湖の幸 読本」 平成19年9月発行 滋賀県漁業協同組合


 ご紹介した“漬け込み方”は、琵琶湖汽船・沖島漁協共同企画の『ふなずし手作り講習会』でも開催当初から、ずっと続けて行っている漬け込み方です。
 漬けあがった“鮒ずし”は「とても食べやすい♪」と毎年ご好評をいただいており、年々、リピーターの方々も増えています。ぜひ一度、お試しくださいませ♪

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