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R4年版
“地蔵盆”が過ぎ、わかさぎ漁が始まると、
そろそろ秋の気配を感じ始めます。
沖島の秋は湖の恵み・山の恵みと、まさに“実りの秋”です。また秋祭り等の行事が行われ、様々な恵みに感謝をする季節でもあります。
そんな“秋の沖島” に足を運んでみませんか・・・♪
ここ2,3年、全国的に秋が短かったように沖島でも秋らしい秋を感じていませんでしたが、今年は気温の変化も穏やかで小春日和の日も多く、久しぶりに秋らしい秋を迎えました。
11月に入ってからは日中は小春日和であるものの、朝晩は冷え込みが厳しくなり気温差が14〜15℃となる日もあり、湖面には水温が急激に冷やされることにより起こる“朝靄(もや)”が見られる日もありました。この気温の寒暖差により紅葉の兆しも見え始め、漁港の桜並木などは急激に色づいたように感じます。
また、全国各地でイベントが再開される中、沖島でも『おきしまるしぇ(10月30日開催)』が開催され、多くの観光客の方がお越しになるなど、観光で沖島を訪れる方々も多くなり、徐々に活気が戻ってきていることを実感する秋になりました。
冬に向けて旬を迎えるホンモロコ漁も本格化するなど…そろそろ冬の足音も聞こえ始める、そんな秋の沖島から、いくつかの話題をお届け致します♪
秋の漁 全般的には順調ですが・・・
今年も秋の訪れとともに漁の様子もビワマス漁や小アユ漁が禁漁期間に入るなど夏から秋へと移り変わりました。この秋も夏から引き続き、資源(湖魚)的には全てにおいて増えてきていると感じており、琵琶湖の状態も大きな変化はないように感じています。
夏の終わり頃から始まる“ワカサギ漁”は、ここ2、3年不漁が続いていましたが、今年は10月までは豊漁が続き、11月に入って水揚げは減ったものの獲れてはいるようです。この状況は推測ではありますが、わかさぎの生態が関係していると思われます。わかさぎは若い時ほど集団を形成し動きも緩慢なため、漁としては一網打尽することができ獲りやすい状況ですが、成長し水温も低くなってくると動きが俊敏となり、集団もばらけてきてしまうため獲りづらくなってしまうからです。わかさぎは秋から冬にかけて旬となりますが、なんとか、このまま旬を迎える冬も獲れることを願うばかりです。
“わかさぎ南蛮酢漬け”
一方、引き続き順調な“ホンモロコ漁”ですが、こちらは「獲れても売れない」というワカサギとは違う問題を抱えています。かつて、ホンモロコは激減し獲れないことから料亭などでしか味わえない“高級魚”として扱われてきましたが、最近では外来魚の駆除や稚魚の放流などの対策が功を奏し資源的に回復したことや漁の道具の開発・発達によって獲りやすくなったことから水揚げも増加しました。しかしながら、極端な需要の低下から買取単価は低くなり、いずれ「わかさぎ」より安くなるのでは…とも言われています。このことは琵琶湖の恵みを次世代へ引き継ぐ担い手として、漁師の士気を下げるだけではなく、後継者問題へと波及してしまうことも懸念されるところです。
その他、“スジエビ漁”もほぼ順調で、“イサザ漁”も今年ふ化したと思われる小さいものが多く見られ、水揚げもされていることから、どちらもこれからの水揚げに期待が持てると思います。
また、現在、禁漁期間となっている“小アユ漁”は“ヒウオ漁”として12月から再開されます。この漁は養殖用、放流用の種苗としてアユの稚魚を獲るのが目的であり、養殖業者からの注文など今年の需要に合わせて漁獲量が計画されます。アユの稚魚は体が透きとおって見えることから“ヒウオ(氷魚)”と呼ばれています。
アユの稚魚“ヒウオ(氷魚)”
夏が終わって秋に入り11月上旬頃までの漁の様子をご紹介してまいりましたが、これから冬に向け漁の様子も少しずつ変わっていきます。琵琶湖の魚はこれから冬に向けて美味しくなるものが多く、“ホンモロコ”もその一種です。その多くは春の産卵に向けて卵を抱え、脂ものって格別な味わいとなります。また、子持ちとなった“ニゴロブナ”は滋賀県の無形民族文化財でもある『鮒ずし』にはかかせない湖魚です。これからも、琵琶湖の恵みを次世代へ引き継ぐ担い手として、このような“琵琶湖の恵み”の魅力を多くの方に知っていただけるよう情報発信などに努め、この先、冬から春に向けて湖魚の需要が高まっていくことを願うばかりです。
“本もろこ若煮”
“本もろこ南蛮酢漬け”
“イサザ若煮”
★ 上記の湖魚の若煮など沖島の湖魚料理は、通信販売でもお買い求めいただけます。
ぜひ、ご賞味くださいませ。
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★ 琵琶湖固有種の中でも代表的な湖魚たちを料理とともにご紹介しています。
ぜひ、こちらもご覧下さいませ。
“琵琶湖のさかな”食べてみませんか♪
この秋の琵琶湖の状態は・・・
現在の琵琶湖の状態は、秋の漁の様子からも大きな変化はなく引き続き同じ状態が保たれていると思われます。しかしながら、昔とは異なり、現在の琵琶湖は良くも悪くも環境が変化しやすい状況に置かれていると思います。その要因としては「植物性プランクトンや水草のグローバル化による水質の変化」や「富栄養化から貧栄養化への移行および栄養の多様化」などが挙げられ、徐々にわかってきてはいるものの、その解消の仕方が判明されていないのが現状です。そのため、琵琶湖は常にその影響をうけ環境が変化しやすい状況にあるといえるのではないでしょうか。
また、湖底の状態もあまり改善されておらず、この夏、資源的にはいると期待されていた“ウロリ漁”が結果的には不漁となったのも、湖底の状態による漁のしづらさが原因ではないか思われます。
このように環境の変化が目まぐるしい琵琶湖で漁が続けられているのは、長年の経験から身につけてきた経験値を活かし、この環境の変化に適応してきているからこそ…だと思います。しかしながら、このところ続いている“琵琶湖固有種の需要の低下”はその漁師のモチベーションを下げ、高齢化とともに水揚げ量の減少を招いています。
昔のように琵琶湖の環境が安定してくれることも大切ですが、今、私たち漁師が何よりも望むことは、私たちが獲っているホンモロコなど“琵琶湖固有種”の需要が高まってくれることです。このことは漁を営んでいくうえのモチベーションにつながり、漁業で生計を立てることができれば、高齢化に伴う後継者問題の解決にもつながっていくと思います。そして、次世代へと漁業が引き継がれていくことで、琵琶湖に関心を寄せ、琵琶湖の環境保全・安定化にもつながっていくのではないでしょうか。
“ランチバイキング”♪…沖島漁協婦人部“湖島婦貴の会”開催
10月30日に開催された『おきしまるしぇ』に合わせ、沖島漁協婦人部“湖島婦貴の会”では“ランチバイキング”を開催いたしました。初めての試みにも関わらず、大変ご好評をいただきましたこと喜びとともに感謝申し上げます。。
“ランチバイキング”は「湖島婦貴の会」の屋台がある沖島漁協会館内で開催させていただき、食事時間は無制限でお一人様1,200円とし、沖島で水揚げされた湖魚や沖島産の野菜をふんだんに使った沖島の郷土料理をご提供させていただきました。
どの料理も大変ご好評をいただき、お皿が空き次第、料理を追加させていただきました。特に揚げたての「わかさぎの天ぷら」や「すじえびのかき揚げ」は大変好評で、また、滋賀名産の丁子麩を使った「丁子麩の辛し和え」も追加させていただくたびに直ぐ皿が空いてしまう…という感じでご好評をいただきました。その他、メニューには載っていませんが“自家製味噌”を使ったお味噌汁も付けさせていただき、こちらも「お味噌がとても美味しい♪」とのお声をたくさん頂戴いたしました。
また、ランチバイキングとは別に販売させていただいた“えびコロッケ”や“沖島産さつまいものスティック”も大変ご好評をいただきました。
“えびコロッケ”
初めての試みということで、席数など場所の問題や運営上の課題も多くみられ、皆様にご了承いただくことも多々ございましたが、それと同時に沖島を訪れてくださる方々のニーズを実感させていただきましたこと、感謝申し上げるとともにこれからの励みもいただきました。この経験をもとに、これからもより一層、沖島を盛り立てていけるよう努めて参りたいと思います。
★ 沖島漁協婦人部『湖島婦貴の会』では、沖島の味覚を販売いたしております。湖魚の佃煮等は
通信販売でお買い求めいただけますので、ぜひ、ご利用くださいませ。
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今年の紅葉風景は“オブジェ”とともに・・・
今年も秋の訪れとともに沖島も紅葉の時期を迎えています。沖島の紅葉は、沖島漁港の桜並木、島の西側の「桜のトンネル」から色づき始め、島内や山間の広葉樹へと紅葉していきます。その色づき方は気温だけではなく琵琶湖の水温の変化にも左右されるため、毎年その年ごとに少しずつ違う紅葉風景を楽しませてくれます。
今年は、沖島でも2、3年ぶりに秋らしさを感じる秋を迎えました。昨年は10月中旬頃から気温が低くなる日が続き、例年より早く色づき始めたようでしたが、今年は11月に入り日中は小春日和であるものの、朝晩は冷え込みが厳しくなり、この気温の寒暖差により紅葉の兆しが見え始め、漁港の桜並木などは急激に色づいたように思います。
昨年の漁港の桜並木は紅葉する前に多くの桜の葉が落ちてしまい、少し寂しい紅葉風景でしたが、今年はそのようなこともなく、こんもりと葉の茂った状態で紅く染まり“紅い並木”となりました。また、今年は『国際芸術祭 BIWAKOビエンナーレ』の開催に伴って、ここ沖島のあちらこちらに“オブジェ”が展示されており、例年とはひと味違う紅葉風景も楽しんでいただけるのではないでしょうか♪
撮影日当日は、漁港の桜並木があざやかに色づいた頃で島内・山間部の広葉樹までは紅葉が進んでいませんでしたが、瀛津島神社の“もみじ”も色あざやかに染まってきており、島内・山間部の広葉樹もあざやかな紅葉風景を見せてくれることでしょう♪
(写真の撮影日 2022/11/8 曇天)
★ 今年の紅葉写真は、こちらからもご覧いただけます。・・・◆沖島 紅葉アルバム
“ふなずし手作り講習会の鮒ずし” 樽だし間近です♪
〜今年は12月1日(木)、2日(金)です〜
お待たせ致しました。今年もこの夏「ふなずし手作り講習会」で漬け込んだ“鮒ずし”が樽だしの時期を迎えました。今年もコロナ禍という状況での開催となりましたが、こうして例年通り、無事に“樽だし”を迎えることが出来ましたことに感謝し、安堵致しております。
この「ふなずし手作り講習会」も今年で14年目となり、今年も大変多くの方々にご参加いただきました。その感謝の意も込めて最高の状態で樽だしすることが私どもの責務であり、感謝の意を表することにつながると存じます。そのため樽だしの日程は、講習会と同じ方法で漬け込んだ漁協用の樽の漬かり具合を確認し、決めさせていただいております。その結果、今年は12月1日(木)、2日(金)に樽だしさせていただくこととなりました。昨年より一週間ほど遅い樽だしとなりましたが、何卒ご了承下さいませ。
樽だしをした鮒ずしは、一尾ずつ丁寧に漬込んだご飯と一緒に真空パックにし、ダンボールに詰めて、ご自宅へお送り致しております。鮒ずしは発酵食品なので少しずつ発酵が進みますが、真空パックのまま冷凍保存していただければ、食べ頃の状態のまま長期保存していただけます。
“鮒ずし”は、滋賀県を代表する名産品で滋賀県の無形民族文化財にも指定されています。昔は各家庭で保存食として漬込まれ、お祝い事などの料理の一品として、時には風邪や下痢などの薬として頂く日常的なものでしたが、今では家庭で鮒ずしを漬けることも少なくなってきています。
私どもの「ふなずし手作り講習会」では“現代のライフスタイルや住環境に考慮した漬け込み方”をご紹介しており、「鮒ずし手作り講習会の鮒ずしは食べやすい♪」と大変ご好評をいただいております。この漬け込み方を多くの方に知っていただき、将来的には、“鮒ずし”が昔のように各家庭で漬け込まれる身近な食品となれば、嬉しい限りです。毎年、同じ漬込み方で漬け込んでも、その年の天候、漬込み手の違いなどにより仕上がりは異なりますが、これこそが自然の恩恵を実感し、手作りの良さ・楽しみではないでしょうか。そんなことも感じていただけたら幸いです♪
“鮒ずし手作り講習会”の様子
そして、私どものそのような取り組みが琵琶湖の伝統と恵みを次世代に引き継ぐことに繋がると信じ、これからも励んで参りたいと思います。
ここからは、例年の“秋の沖島”の様子をご紹介しております
◆ 秋の行事 ◇ 秋祭り
毎年9月下旬から10月初旬頃に、さまざまな収穫に感謝をし“瀛津島神社”、“弁財天(厳島神社)”で行われます。
昔から、秋の収穫期にあたる頃に行われるため、春より簡素な形で行われてきました。現在では、「子供みこし」も催されるなど、内容は昔と様変わりしたところもありますが、感謝する気持ちは受け継がれています。
また、“弁財天”では、お祭りの前日、夕方頃から船で、神主さんとともに氏子、その子供達がお供えにお赤飯を持って参拝する風習があります。参拝後、お供えしたお赤飯で“おにぎり”を作ってもらって頂きます。島の子供達の秋祭りの楽しみのひとつです。この風習は今でも大切に受け継がれています。
◇ 先覚者の法要
昭和27年(1952)、沖島漁協に功績のあった方々を称え、“沖島先覚者碑”が建立されました。毎年、秋祭りの初日に先覚者の方々に感謝をし、ここで法要が営まれます。
◇ 島の運動会
毎年、沖島小学校と合同で行います。世代を超えて楽しめるイベントです。
◇ 魚貝類の虫供養
毎年、“先覚者の法要”と同日に漁に感謝をし、獲った魚貝類を供養するために行われます。