“秋”の沖島      R3年版


 “地蔵盆”が過ぎ、わかさぎ漁が始まると、
そろそろ秋の気配を感じ始めます。
 沖島の秋は湖の恵み・山の恵みと、まさに
“実りの秋”です。また秋祭り等の行事が行われ、様々な恵みに感謝をする季節でもあります。
 そんな“秋の沖島” に足を運んでみませんか・・・♪



  令和3年・秋の話題 Part1
 今年も沖島に静かな秋がやってきました。今年は10月中旬頃から肌寒く感じる日が続き、このまま気温が下がれば、冬の訪れが早いのでは・・・と思われましたが、11月に入り、暦の上では秋真っ只中という頃に夏日に近い日が続くなど、今年は秋っぽくない秋を迎えました。
 紅葉も10月中旬頃から気温が低くなる日が続いたため、例年より早く紅葉の時期を迎えるのではないかと思いましたが、11月に入り気温が高くなる日が続いたり、寒暖差も激しくなかったためか、色づき始めてはいましたが、紅葉が一旦、止まったような感じを受けました。しかしながら、第2週目頃からは寒くなり始め、紅葉も再び色づきを進めてくれるのではないでしょうか♪
 未だ収束をしないコロナ禍ですが、全国的に感染状況が落ち着いて来ていることこともあり、沖島にも観光客の方など来島される方々が増え、少しずつ日常が戻ってきているように感じられます。
 そんな秋を迎えている沖島から、この秋の話題をお届け致します♪


 『ブロンズ賞』をいただきました

 先日、「全国共済水産業協同組合連合会」より表彰され、『ブロンズ賞』をいただきました。
 この賞は、漁業者の安全に関する取り組みに対して送られるもので、私ども沖島漁協はライフジャケット着用義務など漁業者の安全に関する取り組みを3年以上継続し、漁業者の安全操業に多大なる貢献をしたということで表彰されました。
 私ども漁業従事者は、計り知れない自然の営みの中で漁をする、常に危険と隣り合わせの仕事です。これからも長年の経験に過信することなく、安全に関する取り組みに努め、安全操業を心がけていきたいと思います。

 今年は紅葉風景に異変が・・・

 今年も秋の訪れとともに沖島も紅葉の時期を迎えています。沖島の紅葉は、沖島漁港の桜並木、島の西側の「桜のトンネル」から色づき始め、島内や山間の広葉樹へと紅葉していきます。その色づき方は気温だけではなく琵琶湖の水温の変化にも左右されるため、毎年その年ごとに少しずつ違う紅葉風景を楽しませてくれます。
 今年は10月中旬頃から気温が低くなる日が続いたため、例年より早く紅葉の時期を迎えるのではないかと思っておりました。しかしながら・・・11月に入ると夏日に近い気温になる日が続いたり、寒暖差も激しくなかったためか、紅葉は始まっていたものの、一旦、色づきが止まったような感じでした。その後2週目に入った頃からは寒く感じられる日が多くなってきており、再び紅葉も進んでいくと思われます♪
 その紅葉の様子ですが、今年は少し異変を感じています。というのも・・・今年は紅葉する前に桜の葉の多くが落ちてしまい、残った葉だけで紅葉するといった状態になっています。例年は漁港近くの桜並木がこんもりと葉の茂った状態で紅く染まり、“紅い並木”となります。また、お花見の時期にちょっとした名所ともなる“桜のトンネル”のある島の西側も例年は桜の紅葉が見られるのですが、今年はほとんどの葉が落ちてしまっており、少し寂しい紅葉風景となっています。しかしながら、瀛津島神社の“もみじ”は色あざやかに染まってきており、これから紅葉が進む島内や山間の広葉樹があざやかな紅葉風景を見せてくれることでしょう♪
(写真の撮影日 2021/11/12)


 “ふなずし手作り講習会の鮒ずし” 樽だし間近です♪

 お待たせ致しました。この夏「ふなずし手作り講習会」で漬け込んだ“鮒ずし”がそろそろ樽だしの時期を迎えました。今年もコロナ禍という状況下、異例の形での開催となりましたが、今年もこうして例年通り、無事に“樽だし”を迎えることが出来ましたことに感謝し、安堵しております。
 今年の樽だしは、今のところ11月24・25日を予定しておりますが、先日、講習会と同じ方法で漁協用として漬け込んだ樽を開封してみたところ、サイズの大きいものの漬かり具合が十分ではなかったことから、樽だしは少し先延ばしとなるかもしれません。
 毎年、樽だしをした鮒ずしは、一匹ずつ丁寧に漬込んだご飯と一緒に真空パックにし、ダンボールに詰めて、ご自宅へお送り致しております。鮒ずしは発酵食品なので少しずつ発酵が進みますが、真空パックのまま冷凍保存していただければ、食べ頃の状態のまま長期保存していただけます。
 今年の講習会もコロナ禍での異例な形での開催となりましたが、多くの方にご参加いただきましたこと大変嬉しく思っております。その感謝の意も込めて、最高の状態で樽だしすることが私どもの責務であり、私どもの感謝の意を表することにつながっていくことと存じます。今年は例年より少し遅い樽だしとなるかもしれませんがご容赦いただきますよう、よろしくお願い致します。
 “鮒ずし”は、滋賀県を代表する名産品で滋賀県の無形民族文化財にも指定されています。昔は各家庭で保存食として漬込まれ、お祝い事などの料理の一品として、時には風邪や下痢などの薬として頂く日常的なものでしたが、今では家庭で鮒ずしを漬けることも少なくなってきています。

“鮒ずし手作り講習会”の様子
 そのような中で『鮒ずし手作り講習会』は今年で13年目を迎え、これまでも多くの方にご参加いただいております。この講習会では「現代のライフスタイルや住環境に考慮した漬け込み方」をご紹介しており、「鮒ずし手作り講習会の鮒ずしは食べやすい♪」と大変ご好評をいただいております。この漬け込み方を多くの方に知っていただき、将来的には、“鮒ずし”が昔のように各家庭で漬け込まれる身近な食品となれば、嬉しい限りです。毎年、同じ漬込み方で漬け込んでも、その年の天候、漬込み手の違いなどにより仕上がりは異なりますが、これこそが自然の恩恵を実感し、手作りの良さ・楽しみではないでしょうか。そんなことも感じていただけたら幸いです♪
 そして、私どものそのような取り組みが琵琶湖の伝統と恵みを次世代に引き継ぐことに繋がると信じ、これからも励んで参りたいと思います。



 母なる琵琶湖 良い状態が続いていますが・・・
 琵琶湖に暮らすものの生活の基盤・・・母なる琵琶湖は、春夏から引き続き良い状態が続いています。ここ数十年からみても全体的に安定していると感じています。しかしながら、現在、水位が−60cmまで下がってきており、このことが今後の懸念材料となっています。
 琵琶湖の水位の変化は、昔に比べ起こりやすくなっています。これは「琵琶湖総合開発」によって内湖が埋め立てられ、琵琶湖が小さくなったことによるものと考えています。琵琶湖の水位が−30cm低下すると漁業に影響が出始め、−60cmまで低下すると漁業に80%の影響が出ると言われています。そのため、現在の−60cmの水位の低下が今後、漁にどのような影響を及ぼすのかが懸念されているのです。過去には、−123cmまで水位が低下し水草が腐ってひどい状況になったことがあり、その後3年間ほどスジエビが獲れなくなり、スジエビ漁を主としていた漁師は小アユなどの刺し網漁への変更を余儀なくされたことがありました。
 このような状況は、「琵琶湖総合開発」という人為的なことと、近年の天候などの環境の変化が合わさって引き起こしていることだと思います。それに対して私たち漁師は余りにも無力ですが、いち早く水位が回復し漁業に影響が出ないことを願うばかりです。



 令和3年・秋の話題 Part2
 秋の漁 モチベーションの低下が・・・

 今年も秋の深まりとともに漁の様子も秋へと移り変わって来ております。
 「秋の話題 Part1」でも取り上げましたが、琵琶湖の状況は−60cmの水位の低下(11/12現在)が見られますが、今のところ漁業に対して影響は出ておらず、春夏から引き続き良い状態が続いていると思われ、資源(湖魚)的にも安定していると思われます。そんな状況の下、秋の漁が始まり、初冬へと進んでおります。
 春夏とよく獲れていた“ホンモロコ”は秋に入ってもよく獲れる状況が続いており、春には一日で100kgほど獲れることもありました。春から不漁が続いていた“スジエビ”は秋になって獲れるようにはなってきましたが、浅瀬から脱皮しながら深いところ向う移動時期(11月中旬)であるため、集団を作っておらず漁的には獲りにくい状況です。同じく“イサザ”も移動時期であり、水温の変化に徐々に慣らしながら深いところへ行く準備をしている段階と思われます。このように湖魚が移動するのは水温・水流が一定している湖底で冬(1〜2月)を過ごすためです。そのような性質から湖底に集団が形成されるため、漁もしやすくなり水揚げ増加も期待されます。しかしながら、近年、毎年のように異なる気象状況やそれに伴う琵琶湖の環境変化の速さにより、予想外の行動を起こすようになってきています。そのことからも今後の状況の変化を注意深く見守りつつ、水揚げにも期待したいものです。また、12月から始まった“ヒウオ漁”ですが、今年は産卵のための遡上が一ヶ月ほど早かったのではないかと思われ、それによる影響が懸念されていましたが、昨年の3倍ほどふ化しているようで豊漁が期待できそうです。
 一方、秋から冬にかけて旬を迎える“ワカサギ”は今年もあまり獲れていません。天気次第では獲れることもありますが、“ワカサギ”も水温の低下により深いところを目指し移動している時期と思われること、また、水深70〜80mの湖底では、スジエビにように湖底に沈んでいるのではなく、湖底から少し浮き上がることもあるため、沖びき網(底びき網)には入らず獲りにくい状況になっていることも要因の一つと思われます。

 このような秋の漁の様子からも、引き続き琵琶湖の良い状態は続いており、湖魚によって差はあるものの、資源(湖魚)的にも安定していると思われますが、水揚げの増加には繋がっていないのが現状です。これには幾つかの要因が考えられますが、最も懸念しているのは「漁師のモチベーションの低下」です。年々、漁師の高齢化により出漁率が低下し、水揚げは減ってきてはいるものの、コロナ禍による「湖魚の需要の低迷=獲っても売れない状況」が益々モチベーションの低下に追い討ちをかけています。今までなら漁に出ていた天候の日でも漁に出るのを止めてしまったりしています。このところ湖魚の価格が少し上向いてきたり、行政による漁業者に対する強じん化プランなども進められていますが、引き続き厳しい状況が続いており、この現状からどうやって立ち直るかが最大の問題であり、見通しがつかない状況です。
 しかしながら、11月後半頃から「スジエビの単価高騰」という明るい兆しも見えてきています。このことは以前から琵琶湖産スジエビを買ってくださっている業者の方々が、琵琶湖産スジエビの水揚げ量が少ないため他県産のスジエビを買うことも検討されたそうですが、品質上の観点から琵琶湖産スジエビを高値でも買いたいということから単価が高騰し、コロナ禍前より高い単価となっています。現在、沖島でスジエビ漁をしている船は9隻ほどですが、このことに刺激を受け、他の船もスジエビ漁に出るようになってくれれば、少しずつでも活気づき、モチベーションを上げていくことにも繋がっていくのでは・・・と期待しております。
 コロナ禍により、日常生活での“行動変容”を求められようになって、早や2年近くが経とうとしています。そして、少しでも早く元の生活に戻りたいという思いで、日々、その行動変容に努めてきています。同じように、現在の沖島の漁業においても“行動変容”なる“意識変容”が必要なのではないでしょうか。「売れないから獲らない」のではなく「今は売れるものを獲る」というように意識を変え、行動していくことが大切で、そのことが活気を生み、更にはモチベーションを上げていくことに繋がっていくのでは・・・と思うからです。夏の話題でも取り上げたように、このままでは沖島の漁業は廃れてしまいます。まさに今が正念場であり、意思を変え、行動していくことが、現在の急場をしのぎ、更には次世代に琵琶湖の伝統と恵みを引き継いでいくことに繋がっていくと思っております。
 とは言え、ここまで下がってしまったモチベーションを上げるのは時間がかかることだと思います。また、この状況を回復させることは一漁協で成し得るほど容易なことではありません。行政・漁協・業者間で頼りあうのではなく三者が団結して全体を底上げしていくことが肝要と考えます。私ども沖島漁協もその一員として真摯に取り組み、琵琶湖の漁業を守り、更に発展できるよう励んで参りたいと思います。

 “琵琶湖のさかな(固有種)”食べてみませんか♪

 琵琶湖は400万年の歴史がある世界でも有数の歴史ある湖です。その長い歴史の中で育まれてきた“琵琶湖固有種”といわれる湖魚たちを食べてみませんか♪
 その中でも代表的なのは“ビワマス”、“ホンモロコ”、“ニゴロブナ”、“イサザ”が挙げられます。それぞれ独自の味わいがあり、食文化もあります。その一部をご紹介したいと思います。

★ ビワマス ★
“ビワマスのお刺身”
 

“ビワマスの煮付け”
 「ビワマス」は、淡水魚にありがちな臭みがなく、琵琶湖の魚の中で最も美味しいとも言われます。特に夏に獲れるものは“琵琶湖のトロ”とも称されるほど脂がのっています。また、味に癖がないのでどんな調理法でも美味しくいただける湖魚です。
★ ホンモロコ ★

“本もろこ南蛮酢漬け”

“本もろこ若煮”
 「ホンモロコ」は、淡白な味で肉質も良く骨も柔らかいため、佃煮や天ぷら、南蛮漬けなどでいただきます。冬季に獲れるものは卵を抱えており卵の食感と旨みを味わえます。
★ ニゴロブナ ★

“沖島の鮒ずし”
 「ニゴロブナ」は琵琶湖にのみ分布しているフナで、煮つけでも美味しくいただけますが、主に湖国を代表する食文化として滋賀県の無形民俗文化財に指定されている『ふなずし』の原料として利用されています。
『ふなずし』は、フナのウロコと内臓を取り、塩漬けにしたものを丁寧に洗い(塩切り)、飯漬けにし発酵させた発酵食品です。スライスしてそのままいただきますが、お茶漬け、お吸い物にしても美味しく召し上がっていただけます。

こちらも食べてみませんか♪
 琵琶湖には外来魚も多種生息しています。よく知られているのは「ブラックバス」でしょうか・・・。この「ブラックバス」は琵琶湖固有種の食害対策として駆除対象となっていますが、元々は食用目的などで日本に持ってこられたものです。白身の淡白な味の魚で、フライなどでも美味しくいただけます。

★ 沖島よそものコロッケ ★
 沖島で水揚げされた鮮度の良い天然バスのミンチを使用し、おから、ハーブなどを加えたクリームコロッケ風で、
 種類は、プレーン(塩味)のみでじゃがいもは使用せず、おからを使用することで、ヘルシーに仕上げています。
 また、外来魚の臭みもなく、冷めても美味しく召し上がっていただけます。

※ 「沖島よそものコロッケ」は漁協会館前の漁協婦人部『湖島婦貴の会』の屋台で販売しております。(通信販売は行っておりません)

★ 沖島漁協婦人部『湖島婦貴の会』では、沖島の味覚を販売いたしております。湖魚の佃煮等は
 通信販売でお買い求めいただけますので、ぜひ、ご利用くださいませ。
  詳細はこちらから・・・

《参考文献》「琵琶湖の幸 読本」 平成19年9月発行 滋賀県漁業協同組合


 ここからは、例年の“秋の沖島”の様子をご紹介しております 
 

◆ 紅

  10月後半から11月中旬にかけて、沖島の山々も色彩豊かに彩られます。その中から絶景ポイントをご紹介いたします。
 ※ 写真はH21年11月中旬に撮影したものです。
◇ 瀛津島神社(おきつしまじんじゃ)


 紅葉に彩られた“瀛津島神社(おきつしまじんじゃ)”は、厳かな中にも温かみがあり、趣き深いものがあります。


クリックするとスライド形式で御覧になれます
                     風景写真  
◇ ケンケン山(見景山)


 ケンケン山に登っていく途中の紅葉も美しく、また、「お花見広場」からは、比良山系・比叡山が望めます。


クリックするとスライド形式で御覧になれます
                    風景写真
◇ ホオジロ広場


 ケンケン山「お花見広場」から山道を暫く歩くと“ホオジロ広場”に到着します。
 ホオジロ広場からは、沖島の西側を展望することができます。

クリックするとスライド形式で御覧になれます
                    風景写真
◇ 蓬莱山の頂上


 沖島で一番標高の高い蓬莱山の頂上からは、琵琶湖を見下ろすことができ、また湖東の景色を一望することができます。 ここから見る対岸の風景は評判です。



クリックするとスライド形式で御覧になれます
                    風景写真
◆ 秋の行事  
◇ 秋祭り

 毎年9月下旬から10月初旬頃に、さまざまな収穫に感謝をし“瀛津島神社”、“弁財天(厳島神社)”で行われます。
 昔から、秋の収穫期にあたる頃に行われるため、春より簡素な形で行われてきました。現在では、「子供みこし」も催されるなど、内容は昔と様変わりしたところもありますが、感謝する気持ちは受け継がれています。
 また、“弁財天”では、お祭りの前日、夕方頃から船で、神主さんとともに氏子、その子供達がお供えにお赤飯を持って参拝する風習があります。参拝後、お供えしたお赤飯で“おにぎり”を作ってもらって頂きます。島の子供達の秋祭りの楽しみのひとつです。この風習は今でも大切に受け継がれています。
                 
◇ 先覚者の法要
 
 昭和27年(1952)、沖島漁協に功績のあった方々を称え、“沖島先覚者碑”が建立されました。毎年、秋祭りの初日に先覚者の方々に感謝をし、ここで法要が営まれます。

◇ 島の運動会

 毎年、沖島小学校と合同で行います。世代を超えて楽しめるイベントです。
◇ 魚貝類の虫供養

 毎年、“先覚者の法要”と同日に漁に感謝をし、獲った魚貝類を供養するために行われます。
次ページへ続く