“秋”の沖島      R2年版


 “地蔵盆”が過ぎ、わかさぎ漁が始まると、
そろそろ秋の気配を感じ始めます。
 沖島の秋は湖の恵み・山の恵みと、まさに
“実りの秋”です。また秋祭り等の行事が行われ、様々な恵みに感謝をする季節でもあります。
 そんな“秋の沖島” に足を運んでみませんか・・・♪



  令和2年・秋の話題
 沖島では、11月に入った頃から紅葉の兆しが見られるなど、ようやく秋の深まりを感じられるようになりました。ところが・・・今年は昨年より6日ほど早く伊吹山の初冠雪が観測されるなど、予報では昨年より冬の訪れが早くなるようで、今年は秋の余韻に浸る間もない束の間の秋となりそうです。
 未だ収束の見えないコロナ渦、沖島でも不安な日々が続いておりますが、沖島の紅葉風景とともに島の様子をご紹介し、皆様にわずかでも沖島の秋を感じていただけたら幸いです。

 今年も秋色に染まりました♪

 秋色に染まった沖島より今年の紅葉風景をお届け致します。
 沖島の紅葉は、沖島漁港の桜並木、島の西側の「桜のトンネル」から色づき始め、島内や山間の広葉樹へと紅葉していきます。その色づき方は気温だけではなく琵琶湖の水温の変化にも左右されるため、毎年その年ごとに少しずつ違う紅葉風景を楽しませてくれます。
 今年の紅葉は、11月に入って、ようやく紅葉の兆しが見え始めたと思いきや、8日頃にはきれいに色づきはじめ、その後の暖かさもあってか18日頃でも鮮やかな紅葉風景を見ることができ、いつもより少し長く紅葉を楽しませてくれたように思います。一方で、早くから葉が落ち始める木もあり、例年より落ち葉の量も多いように感じられ、紅葉した木々とともに“紅葉色の絨毯”を見られるところもありました。
 また、この時期にしては小春日和の穏やかな日が多く、暖かな日差しのもとで紅葉を楽しむことができたのも今年ならでは・・・かもしれません♪
(写真の撮影日 2020/11/18)


 この秋の漁は・・・
 今年も11月に入って秋が深まるに連れ、琵琶湖の水温の変化などにより漁の様子も移り変わって来ています。

琵琶湖固有種“ホンモロコ”
 この秋も“ホンモロコ漁”は夏から引き続き順調で、10月頃少し減ったものの11月に入ってからはよく獲れるようになってきています。このところのホンモロコ漁の順調続きは、今年の「夏の沖島の話題」でも取り上げたように、外来魚の駆除や稚魚の放流など資源回復に努めてきていることが功を奏し、資源的には確実に増えてきていることを物語っているのではないでしょうか。
 一方、秋から冬に旬を迎える“ワカサギ”は、今年もあまり獲れません。漁が始まった9〜10月頃は比較的水揚げ量もあったのですが、11月に入ってから獲れなくなりました。この状況は、11月に入って琵琶湖の水温が下がってきたため、魚が移動し集団がばらけてしまったことから漁がしづらくなり、水揚げが減っているものと推測されます。
 また、“スジエビ漁”は11月に入り、一定の水揚げ量が確保できるようになってきました。こちらも琵琶湖の水温が関係しており、ワカサギとは逆の現象で、水温が下がってきたことにより生息場所がばらけていたものが琵琶湖の中心部に集まってきたため、漁がしやすくなったのだと思われます。

琵琶湖固有種“イサザ”
 突然、琵琶湖から姿を消すことから“幻の湖魚”と称される“イサザ”は、今年もいるようです。この“イサザ漁”は主に「沖びき網漁」で行われますが、その水揚げ量は天候に左右されやすく、晴れた日は魚がヘドロに潜ってしまうため獲りづらくなり、雨の日はヘドロの上に出てくるため獲りやすくなります。琵琶湖の魚は全般的に雨の日は浮き、晴れの日は沈むと言われていますが、これは低気圧がくると水圧も低く(弱く)なるため魚が浮くと考えられ、この“イサザ漁”には水揚げ量に顕著に現れます。


アユの仔魚“ヒウオ”
 その他、小アユは産卵保護のため8月21日〜11月20日まで禁漁期間となっており、12月に養殖用、放流用の種苗として獲る“氷魚(アユの仔魚)漁”として再開されます。データによるところでは昨年並みに獲れるのでは・・・と予測されており、極端な不漁になることはなさそうです。
 このような秋の漁の様子を通して、漁協従事者としては、このところの琵琶湖の環境は安定しているのでは・・・という感触があります。湖魚によって差はありますが、全体的に見て極端に獲れなくなるということもなく推移してきていることから、データ的な事などはわかりませんが、何かしら湖魚にとっては住みやすい環境であり、琵琶湖の環境の回復の兆しを感じております。
 また、ここ数年不漁が続いている“ニゴロブナ”ですが、この秋は多くの稚魚を目にします。ニゴロブナにとっても今の琵琶湖の環境が住みやすいものであり、順調に成長してくれること願うばかりです。
※ 「琵琶湖のさかなを食べてみよう」でも琵琶湖固有種についてのご紹介しております。
 ぜひ、ご覧下さい。

《参考文献・写真》「琵琶湖の幸 読本」 平成19年9月発行 滋賀県漁業協同組合

 琵琶湖の“全層循環” 今年は雪が降りますように・・・
 こうして秋が深まり、冬の訪れが近づくと気になりだすのは“降雪”です。今年は2年続きで琵琶湖の全層循環が確認されておらず、雪は全層循環にはかかせない要因だからです。
 この“全層循環”とは上層部の水温が冷やされた(0℃以下)ことにより上層部の水が下層部に潜り込み、湖全体の水温などがほぼ同じになる現象で一年に一度起きるとされています。雪は水温を下げるのに大きな役割を果たし、雪が降った直後の酸素量は顕著に上がる事が報告されています。この全層循環は琵琶湖の環境に大きな影響を与え、琵琶湖の漁業の先行きにも繋がっていきます。
 毎年起きていた全層循環が2年続きで起きなかったり、琵琶湖の様子も昔のパターンがあてはまらなくなったため、想像がつかなくなってきています。長期予報によると、今年の冬は昨年のような暖冬ではなく例年並みの寒さになると言われています。今年は雪が降ってくれることを願うばかりです。

 “琵琶湖の魚”美味しいですよ〜♪


“本もろこ南蛮酢漬け”

“イサザ若煮”

“鮒ずし”
 この秋の漁の様子でもご紹介したように“ホンモロコ”など琵琶湖固有種の水揚げ量が回復してきています。その一方で、“湖魚の需要の低迷”が大きな懸念であり、課題となってきています。
 このことについては、ホームページ上でも幾度となく触れて参りましたが、これには食生活変化はもとより『流通の難しさ』も背景にあると思います。昔は水揚げされた魚を持って売り歩く訪問販売が主流で毎日の食卓に上がるおかずであり、今で言う「地産地消」という流通形態でした。しかしながら、食生活や生活様式の変化などにより「地産地消」では立ち行かなくなってきており、流通範囲の拡大など需要を掘り起こすことが求められてきています。
 流通範囲の拡大で問題となるのは、『鮮度』です。湖魚のような淡水魚は海水魚に比べ、鮮度が落ちるのがとても早く、鮮度が保てるのは3時間程度と言われています。そのため、海水魚のように「活魚」で流通させるのはとても難しいうえ、各地のスーパーに並べるような薄利多売も難しいのが現状です。また、このコロナ渦も影響し、ますます需要の低迷に拍車がかかり、漁師のモチベーションの低下にもつながってきています。
 このようなことからも、琵琶湖の資源(湖魚)回復に努めることは基より、もう一度「地産地消」に力を入れると同時に、県外の方々にも琵琶湖の魚の美味しさを知っていただけるような流通形態にも力を注ぐべきと考えます。
 そこで、海水魚のような「活魚」での流通は難しいことから、鮮度が良いうちに加工し付加価値をつけることで商品化し、“鮒ずし”のように“琵琶湖特産”というブランド化を目指したほうが良いのではないかという方向で取り組み始めています。
 最近では、琵琶湖の魚のファンも徐々に増えてきているようで、とても励みとなっています。沖島漁協でも沖島で水揚げされた湖魚を使った『沖島“家庭の味”宅配便』などの通信販売をはじめ、「ふなずし手作り講習会」などのイベントを通じて琵琶湖の伝統の継承および沖島郷土料理の商品化などに取り組んでおります。みなさま、ぜひ一度、“琵琶湖の魚”食べてみてくださ〜い♪!

★ 沖島漁協婦人部『湖島婦貴の会』では、沖島の味覚を販売いたしております。湖魚の佃煮等は
 通信販売でお買い求めいただけますので、ぜひ、ご利用くださいませ。
  詳細はこちらから・・・

 “ふなずし手作り講習会の鮒ずし” 樽だしです♪

 お待たせ致しました。この夏「ふなずし手作り講習会」で漬け込んだ“鮒ずし”が食べ頃を迎えました。今年は新型コロナウイルスの影響により、感染対策として漬込み樽数を例年の半分以下に縮小し、会場内の密を避けるため開催人員も制限、会場内でのマスク着用など例年にない異例の形での開催となりましたが、こうして例年通り、無事に“樽だし”を迎えることが出来ましたことに感謝し、安堵しております。
 例年、樽だしは2日日間くらいを予定して行われますが、今年は講習会自体が縮小しての開催で保管樽数が少なかったこともあり、11月24日一日間のみで行われました。樽だしをした鮒ずしは、一匹ずつ丁寧に漬込んだご飯と一緒に真空パックにし、ダンボールに詰めて、ご自宅へお送り致しました。鮒ずしは発酵食品なので少しずつ発酵が進みますが、真空パックのまま冷凍保存していただければ、食べ頃の状態のまま長期保存していただけます。
 毎年、「ふなずし手作り講習会の鮒ずしは食べやすい♪」と大変ご好評をいただいております。今年の鮒ずしも、鮒のサイズの許容範囲を広げるなどしたものの、鮒自体は卵の持ち方がとても良かったので仕上がりが楽しみです。同じ漬込み方でも、その年の天候、漬込み手の違いなどにより樽それぞれ出来上がりは異なりますが、これこそが自然の恵み、そして手作りの良さ・楽しみではないでしょうか。そんな思いも鮒ずしとともにお届けできたら幸いです♪
 “鮒ずし”は、滋賀県を代表する名産品で滋賀県の無形民族文化財にも指定されています。昔は各家庭で保存食として漬込まれ、お祝い事などの料理の一品として、時には風邪や下痢などの薬として頂く日常的なものでしたが、今では家庭で鮒ずしを漬けることも少なくなってきています。
 『ふなずし手作り講習会』も今年で12年目を迎え、多くの方にご参加いただいてきました。今年は新型コロナウイルスの影響もあり、これまでにも増して続けていくことの大変さを実感致しましたが、発酵食品など“スローフード”が注目されて来ている今、この講習会で行っている「現代のライフスタイルや住環境に考慮した漬け込み方」を多くの方に知っていただき、ご家庭でも手軽に“鮒ずし”を味わっていただけるように、そして、そのような取り組みが琵琶湖の伝統と恵みを次世代に引き継ぐことに繋がると信じ、これからも励んで参りたいと思います。


 沖島町郷土料理“ニゴロブナジョキ”試食会♪

 11月17日、沖島町地域おこし協力隊主催の「沖島町新商品試作品試食・意見交換会」が行われ、沖島町郷土料理“ニゴロブナジョキ”の試食会が催されました。
 “ニゴロブナジョキ”とは、新鮮な“ニゴロブナ”を三枚におろして細切り(ジョキ)にしたお刺身を酢味噌などで和えた料理です。沖島の家庭では昔から食べられている料理で、生きてるままのニゴロブナを三枚におろして皮付きのまま細切り(ジョキ)にし、酢味噌で和えたり、ポン酢やわさび醤油などでいただきます。この料理は何より鮮度が大事で、生きている状態で調理することで生臭みもなく皮も柔らかくいただけます。
 試食会では、三枚におろしたものを急速冷凍し、半解凍した状態でスライサーを使って細切り(ジョキ)にし、再度急速冷凍したものを食べる直前に再解凍し味付けをするという方法で調理されていました。味付けは、「酢味噌で和えたもの」と「梨のすりおろしに辛味調味料を加えて和えた韓国風」が用意され、試食・意見交換がされました。
 試食の結果、「酢味噌和えは少し生臭みを感じる」とか「韓国風のほうは若い人に好まれそう」などの声が聞かれ、価格的には少し高いかも・・・との意見が出されました。やはり、何より鮮度がポイントとなることから、二度に亘る冷凍・解凍作業が鮮度を落としてしまい、酢味噌和えなどの優しい味付けでは生臭みを感じてしまう結果になったのかもしれません。そこで、改善点として「高度な冷凍技術でもわずかな細胞破壊は防ぎきれないことから、生のまま三枚におろしたものを細切り(ジョキ)するところまで調理したものを急速冷凍し、冷凍・解凍作業の回数を減らしたほうがもっと鮮度が保てるのでは・・・」と提案させていただきました。
 この試食会は、沖島町地域おこし協力隊の皆様が、かねてから取り組んで下さっている
沖島の郷土料理“ニゴロブナジョキ”の商品化を目指し行われました。この商品化は「未利用魚の利用」を目的とし、今までは獲られても食されることなく捨てられてしまっていた湖魚を何か利用できないかという発想から始まりました。“ニゴロブナ”は、子持ちのメスは「鮒ずし」の原料として利用価値が高く需要も多いのですが、オスは廃棄されてしまうことが多いのが現状です。このニゴロブナのオスを利用し“ジョキ”という付加価値を付けることで商品化し、利用価値を見出すとともに沖島の郷土料理を多くの方にお届けできることに繋がっていけばと、期待しております。



 ここからは、例年の“秋の沖島”の様子をご紹介しております 
 

◆ 紅

  10月後半から11月中旬にかけて、沖島の山々も色彩豊かに彩られます。その中から絶景ポイントをご紹介いたします。
 ※ 写真はH21年11月中旬に撮影したものです。
◇ 瀛津島神社(おきつしまじんじゃ)


 紅葉に彩られた“瀛津島神社(おきつしまじんじゃ)”は、厳かな中にも温かみがあり、趣き深いものがあります。


クリックするとスライド形式で御覧になれます
                     風景写真  
◇ ケンケン山(見景山)


 ケンケン山に登っていく途中の紅葉も美しく、また、「お花見広場」からは、比良山系・比叡山が望めます。


クリックするとスライド形式で御覧になれます
                    風景写真
◇ ホオジロ広場


 ケンケン山「お花見広場」から山道を暫く歩くと“ホオジロ広場”に到着します。
 ホオジロ広場からは、沖島の西側を展望することができます。

クリックするとスライド形式で御覧になれます
                    風景写真
◇ 蓬莱山の頂上


 沖島で一番標高の高い蓬莱山の頂上からは、琵琶湖を見下ろすことができ、また湖東の景色を一望することができます。 ここから見る対岸の風景は評判です。



クリックするとスライド形式で御覧になれます
                    風景写真
◆ 秋の行事  
◇ 秋祭り

 毎年9月下旬から10月初旬頃に、さまざまな収穫に感謝をし“瀛津島神社”、“弁財天(厳島神社)”で行われます。
 昔から、秋の収穫期にあたる頃に行われるため、春より簡素な形で行われてきました。現在では、「子供みこし」も催されるなど、内容は昔と様変わりしたところもありますが、感謝する気持ちは受け継がれています。
 また、“弁財天”では、お祭りの前日、夕方頃から船で、神主さんとともに氏子、その子供達がお供えにお赤飯を持って参拝する風習があります。参拝後、お供えしたお赤飯で“おにぎり”を作ってもらって頂きます。島の子供達の秋祭りの楽しみのひとつです。この風習は今でも大切に受け継がれています。
                 
◇ 先覚者の法要
 
 昭和27年(1952)、沖島漁協に功績のあった方々を称え、“沖島先覚者碑”が建立されました。毎年、秋祭りの初日に先覚者の方々に感謝をし、ここで法要が営まれます。

◇ 島の運動会

 毎年、沖島小学校と合同で行います。世代を超えて楽しめるイベントです。
◇ 魚貝類の虫供養

 毎年、“先覚者の法要”と同日に漁に感謝をし、獲った魚貝類を供養するために行われます。
次ページへ続く