“冬”の沖島 

 2022年・冬から春に向けて
 沖島の冬は、寒さが厳しく、天候によって漁に出る日も少なくなります。
 
厳しい季節のなかで、島民は左義長祭り、獅子舞などの行事で一年の息災を祈り、また先人の知恵をかり保存食を作ったりして、暖かな春を待ちます。 
 


令和4年・冬から春に向けて・・・

 今年は国内のあちらこちらで「大雪に警戒」という言葉を耳にするなど、全国的に寒さ厳しい冬になりましたが、ここ沖島では寒さは厳しいものの、除雪が必要なほどの積雪はありませんでした。一方、滋賀県内では大雪になったところもあり積雪量も多かったことなどから、琵琶湖の水位も上がり、このところ“+(プラス)”で推移している状況です。また、積雪量などに影響を受ける琵琶湖の「全層循環」も今年は既に起こったことが報告されています。
 「コロナ禍」になり2年目の冬を迎えていますが、沖島では3回目のワクチン接種も済み、滋賀県では「まん延防止措置」が発令されていないことなどもあるためでしょうか・・・島の様子は、昨年に比べ落ち着いているような感じを受けます。また、お天気の良い日などには観光客の方の姿も、ちらほらお見かけします。そのような中、今年も島の最初の年中行事でもある「左義長」も滞りなく行われ、一年の五穀豊穣と無病息災を祈願し新しい年がスタート致しました。
 今年の冬は“昔の沖島の冬”を思い出させる、どこか懐かしい冬を過ごしました。そんな冬が過ぎ、早春を迎えつつある沖島からいくつの話題をお届け致します。

 “琵琶湖の全層循環”今年も確認♪ そして今の琵琶湖は…

 令和4年2月1日、県より「今年も昨年に引き続き“琵琶湖の全層循環”が起こったことが確認された」との発表がありました。昨年(2021年)に確認されるまでは2年続きで確認されておらず、琵琶湖の環境にもたらす影響が懸念されていましたが、昨年に引き続き今年も確認されたことで、私ども漁業従事者からも安堵の声が聞かれます。
 この“琵琶湖の全層循環”は、湖の上層部の水温が冷やされたことにより上層部の水が下層部に潜り込み、湖全体の水質環境がほぼ均一になる現象です。この現象は年に一回起こると言われており、全層循環が起きることで酸素を豊富に含んだ水が琵琶湖全体に行き渡り、水質環境が改善され、湖魚の生育環境の改善へと繋がっていきます。そのため、琵琶湖の漁業にとっても影響があり、重要視されています。また、この現象にはその冬の冷え込みや降雪量が大きく関わっており、今年は県内でも厳しい寒波による冷え込みや大雪があり、その影響で湖の上層部の水温が十分冷やされたことにより起きたと思われます。
 このように“琵琶湖の全層循環”により琵琶湖の水質環境は改善されますが、琵琶湖に生息する湖魚たちにとって大切なのはそればかりではなく、琵琶湖全体の環境にも目を向ける必要があります。3月に入り、湖魚によっては産卵時期を迎えるものもいることから、今回はその「産卵」に重要な役割をする“葦(ヨシ)帯”に目を向けたいと思います。
 “葦(ヨシ)”とはイネ科の植物で身近なものとしては日除けなどに使われる「すだれ」の原料として用いられています。琵琶湖にも自生しており、昔は湖岸のどこにでも見られるものでしたが「琵琶湖総合開発」などにより湖岸の様子が変わったことに影響をうけ、多くが生き残れず減少してしまいました。この“葦(ヨシ)帯”は浄化作用などの役割もしていますが、湖魚の生息場所としても重要な役割があります。3月に入り水温が温かくなってくると、冬の間湖底で卵を抱え大きくした湖魚たちが産卵のために岸のほうに近づいて来ます。その際に生息場所として重要な役割をするのが“葦(ヨシ)帯”です。しかしながら、今は昔のような“葦(ヨシ)帯”がないのが現状です。人工的に“葦(ヨシ)帯”を作ろうと再生事業も行われ増えてはきましたが、自然が織り成したものでなく人が作りあげたものには、警戒心が働くのか、なかなか湖魚たちには受け入れてもらえないようです。何年かが経過し自然と同化してゆき、湖魚たちが受け入れてくれるような状態になるまでには、ある程度の期間を要することでしょう。このように、一旦、壊してしまった自然を人の手で元に戻そうとするのは並大抵なことではなく自然の営みに敵うものはありません。そして、人の目線で状態を整えるだけでなく、如何に魚の目線になって行動するかが大切なのではないでしょうか。
 今回は琵琶湖の“葦(ヨシ)帯”について取り上げましたが、現在の琵琶湖全体の環境について思うのは、昔の状態まで回復した訳ではなく、これ以上壊さないように維持できている状態だということです。今の琵琶湖は昔に比べ小さくなったこともあり、大雨などの自然災害などによっても直ぐに影響を受けるなど壊れやすく安定しない環境になってしまったと思います。
 しかしながら、最近、心強く思うのは「壊してしまった琵琶湖を何とかしたい!」という思いが高まってきており、とりわけ、若い方々が琵琶湖の環境に対して物凄く関心を持たれていることです。漁協にも「琵琶湖の話を聞かせてほしい」と多くの若い方々が訪ねてこられるようになり、その度に感じるのは「琵琶湖を良くしたい、何とかしたい」という強い熱意です。

 島内では高齢化が進み、体力的にも気持ち的にも琵琶湖の環境に向き合い行動を起こすことは容易なことではなくなってきていますが、こうして島外の若い方々が熱意を寄せて下さることに頼もしさを感じ、励まされる思いです。“継続は力なり”というように、現在の琵琶湖に対する関心の高まりが継続し、やがて大きな力となって琵琶湖を良くしてくれることを願い、琵琶湖に暮らす者として、これからも注意深く見守っていきたいと思います。


 冬の漁は平年並みでした♪ 

 今年の冬は寒さの厳しい日が多く、漁に出られる日も少なかったのですが、昨年に引き続き、琵琶湖の「全層循環」が確認されるなど、冬らしい冬を迎えるとともに漁の様子も秋から冬へと移り変わりました。この「秋の話題」として掲載いたしました琵琶湖の水位についても、昨年11月頃には−68cmまで下がり漁業への影響が懸念されていましたが、冬になって県内の積雪量が多かったことなどにより“+(プラス)”になるまで回復し、湖魚自体には良い環境になってきていると思います。沖島の冬はもともと寒さが厳しく、湖が荒れる日が多くなるため漁に出られる日が少なくなり、一年の中で一番水揚量が少ない時期ではありますが、全体的に安定しており平年並みとなりました。


“沖島のえび豆”
 その中でも“スジエビ漁”が好調で、昨年12月20日過ぎ頃から大漁とまではいかないものの獲れはじめ、安定して水揚げがある状況となりました。また、「秋の話題」でもご紹介致しましたが11月後半頃から「スジエビ」の買取単価が上がったことにより“スジエビ漁”をする漁師が増えたことも水揚量に反映されたと思われます。今後の見通しとしては、資源的に安定していると考えられることや、今年も琵琶湖の「全層循環」が起きていることで、より一層、集団を形成し集団が大きくなればなるほど獲りやすくなり、水揚量の増加も見込めると思います。

“イサザ若煮”
 その他“イサザ漁”も平年並みに獲れており、「スジエビ」と同じように集団形成が大きくなるほど獲りやすくなってくると思います。
 このように「漁のしやすさ」は湖魚の生息状態によって左右され、湖魚が集団を形成すればするほど獲りやすくなります。琵琶湖の湖魚は種によって異なりますが、集団を形成して生息する習性があります。この「湖魚の集団形成」に大きな役割をする要因の一つとして挙げられる琵琶湖の「全層循環」です。琵琶湖の湖底は水温が表面水温に比べ温かく安定しており、水深80〜90cmになると台風並みの強風が吹かない限り潮の流れが激しくならないため水温が保たれています。そして「全層循環」により湖底に酸素が行き渡ることで、湖魚にとってより良い環境となるため、「スジエビ」、「ニゴロブナ」、「イサザ」、「ホンモロコ」などは湖底に集まって生息し、春の産卵時期に向けて卵を抱え大きくして冬を越します。琵琶湖の湖底はすり鉢状になっているため、湖底に湖魚が集まってくることで、より漁のポイントも絞りやすくなり、一度に網に入る量も多くなるため獲りやすくなるのです。

小アユの稚魚“ヒウオ”
 また、毎年12月に行われる“ヒウオ漁”は、今年は昨年までとはいかないものの、そこそこの量が確保でき、琵琶湖全体の注文量が確保できた時点(12月14・15日頃)で漁を終えました。この“ヒウオ”とは「小アユ」の稚魚のことで“ヒウオ漁”は養殖用・放流用の種苗として獲るものです。あらかじめその年の注文量を設定し、その量が達成されるまで漁が行われるます。今年は昨年の3倍ほどの産卵が確認されており、稚魚は集団となるため過密状態となり成長が遅れたようです。成長が遅れたことで、一尾ごとの体重が軽いため重量的には伸びませんでしたが、数量的には例年より多いと思われます。この過密状態は、他の湖魚との兼ね合いではなく小アユの種族間で起きたことで、湖魚は餌となるプランクトンが発生しているところへ集まり集団を形成するのですが、小アユは特にその傾向が強く、プランクトンが豊富にあったとしてもふ化した稚魚が多いため、十分な餌を得ることが難しく、体長が小さいことから他のプランクトンが発生しているところへ移動することも困難であり、その結果、過密状態となってしまい成長が遅れたと思われます。成長は遅れていたものの、数的に多いことは水産試験場の調査からも実証されており、春に向けて水温が上がってくると、餌を活発に食べるようになり稚魚たちも成長することから、春の“小アユ漁”に期待したいと思います。
 2月下旬からは「塩切り鮒」にする“ニゴロブナ”の漁協による買取が始まりました。今年は180樽分を目標としています。今年も魚自体(ニゴロブナ)はいると思いますが、漁をする漁師の数が減っているため、目標数を確保できるかどうかはわかりませんが、毎年恒例となりました「塩切り鮒の予約販売」や「鮒ずし手作り講習会」に向けて、より良い物をご提供できるよう進めて参りたいとと思います。
 冬に旬を迎える“ワカサギ漁”ですが、沖島周辺では今年もあまり水揚げがありませんでした。沖島から比良山系までの間では獲れていたようですが、ワカサギ漁をする漁師が少ないこともあり水揚げは伸びませんでした。

“沖島の鮒ずし”
 このように今年の冬の漁は平年並みでしたが、“湖魚の需要の低迷”は続いている状況で、湖魚の買取単価もホンモロコの単価が少し上がるなど一時期よりは良くなりましたが、低迷した状態が続いています。この秋に「スジエビ」の買取単価が上がり、スジエビ漁をする漁師が増えたことや比較的安定して獲れるようになったことから、水揚量は多くなりましたが需要が追いつかず買取単価は下がりました。一方、このような状況の中でも「ニゴロブナ」は別格で単価は安定しています。「ニゴロブナ」は「鮒ずし」の原料となることから需要が安定しており、唯一コロナ禍の影響を受けていません。また、最近では「鮒ずし」は免疫力アップに良いとされる発酵食品であることから注目度も高まってきています。このことから“スジエビ漁”から春に本格的に始まる“ニゴロブナ漁”に移行していく漁師も多いと思います。このように湖魚の買取単価は需要によって左右されるため、私ども漁師は採算も考えて対応していく必要がありますが、高齢化などに伴い、その対応力も低下していきます。その結果、漁師を辞めることを選択し毎年、数名ずつ漁師が減ってきているのが現状です。この漁師の高齢化の問題は常に漁協にとって懸念事項であり、これからも続くと思われますが、少しでも漁師のモチベーションを上げるように努め、この状況に歯止めがかかることを願うばかりです。

 そして春に向けて・・・

 3月に入り早春を迎え、漁の様子も徐々に春へと移り変わりを見せ、湖魚の中でも「温水魚」に分類される湖魚たちは産卵時期を迎えます。陽気が春めき、琵琶湖の水温も温んでくると、湖底で卵を抱え冬を越していた湖魚たちが卵をどんどんはらんでいき、湖底から産卵のために湖岸へと近づいて来ます。「温水魚」として代表的なのは“ホンモロコ”、“イサザ”、“ニゴロブナ”が挙げられます。

“本もろこ南蛮酢漬け”
この時期の「ホンモロコ」は“ひなもろこ”
と言われ、子持ちで格別な味わいです♪
 “ホンモロコ”は春分の日頃から岸によってきて大きく成長した成長の早いものから湖岸のヨシの根などに産卵を始めます。“イサザ”は3月〜4月にかけて浅瀬の石に一斉に卵を産み付けます。“ニゴロブナ”も4〜7月にかけて湖岸などの抽水植物群落で産卵します。この産卵時期に大きく影響するのが琵琶湖の水位です。湖魚の産卵にとって水位は重要なことで、一年を通して一定の水位が保たれることが理想ですが、自然の営みの中ではなかなか叶うことではありません。現在のように高い水位で推移している状態は近年まれに見る良い傾向で、この状態が継続していけば湖魚たちにとってはとても良い状態で産卵時期を迎えられるのですが、この先3月〜5月にかけて琵琶湖の水位がどう変動するかが問題です。今年は冬の積雪量が多かったことで雪解け水も多く、これからも琵琶湖の水位は上がると思われますが、雨水などが一緒に流れ込むことで急激に水位が上昇するような状態になることは湖魚たちにとっては良い状態ではなく、水位が安定することが重要なのです。今年は全体を通して魚が増える要素がいっぱいあるように感じており、これから最盛期を迎える“春の漁”に期待が膨らみます。そして、“春の漁”が活気付くことで漁師のモチベーションが上がり、沖島の漁業が少しずつでも良い方向へ進んでいくことを願うばかりです。

※“「びわ湖のさかな」をたべてみよう”のページでも琵琶湖の湖魚についてご紹介しております。ぜひ、ご覧下さいませ。詳しくはこちらから・・・“「びわ湖のさかな」をたべてみよう!” 


《写真》「琵琶湖の幸 読本」 平成19年9月発行 滋賀県漁業協同組合連合会

 『塩切り鮒の予約販売』始まりました♪

 毎年、ご好評をいただいております「塩切り鮒の予約販売」を今年は2月28日から開始いたしました。
今年は180樽を目標としていますが、ここ2・3年の漁の状況などを考慮し、昨年度に引き続き『仮予約』の受付とさせていただき、商品の発送を確約することは控えさせていただきます。何卒、ご了承下さいませ。
 この「塩切り鮒」はご家庭で手軽に“ふなずし作り”を楽しんでいただけるよう、ふなずし作りの工程で最も手間のかかる塩切り(塩漬け)までしてありますので、後は夏の土用の頃(9月頃まで可能)に漬け込みしていただけば、年末年始頃には美味しい“ふなずし”を楽しんでいただけます。
 最近は他との競合も激しくなっていますが、沖島の“塩切り鮒”は水揚げされたばかりの新鮮な子持ちのニゴロブナを傷つけないように全て手作業で仕込むので、品質には自信を持ってお届け致しております。詳しくは
「塩切り鮒の予約販売」のページをご覧下さい。


 1月10日(月) 左義長祭りが行われました

 今年も1月10日(月)、沖島の“左義長祭り”が行われました。今年も「コロナ禍」での開催となりましたが、厳しい寒さの日が多かった中でもこの日は天候にも恵まれ、滞りなく開催できましたことに感謝し安堵しております。また、今年は“左義長祭り”の前日、40代〜50代前半の方々が島外から40名ほど集まって来られ、「左義長」を組むお手伝いをして下さったことが、とても印象的な出来事として残っております。お手伝いしてくださった方々に感謝申し上げます。
 沖島の左義長祭りは、一人前になる行事(17才の元服)として昔から行われており、その年に元服を迎える男子が元服を済ませた男達に様々な試練を与えられ、一人前の男として認められる、いわば…青年団に入る前の儀式のような意味合いもありました。今では、元服を迎える若者が毎年いないため、自治会と島の子供達が中心となり、五穀豊穣、大漁、無病息災、勉学などの祈願をするお祭りとなり、観光客の方もたくさん見に来られる、島の楽しみの一つとなっています。(下記の“冬の風物詩”でお祭りの様子をご紹介しております。)
 昨年もコロナ禍での開催となり「来年はいつもどおりに・・・」と願っておりましたが、今年もコロナ禍での開催となり、普段は意識することのなかった「日常の有難さ」を改めて実感しております。そして、島の生活の移り変わりとともに沖島の伝統行事も少しずつ様変わりしてきておりますが、改めて“受け継ぐ”ということを大切にしていきたいと思います。そして来年こそ、多くの観光客の皆様にも左義長祭りを楽しんでいただける冬になりますよう、願うばかりです。

 お知らせです

◆ “沖島 桜まつり”今年の開催は、ただいま検討中です・・・


“新名所『RYUBOKU HU』Tと桜”
 毎年ご好評をいただいております沖島漁協婦人部「湖島婦貴の会」主催の“沖島 桜まつり”ですが、今年の開催につきましてはコロナ禍による今後の状況を考慮し、ただいま検討をさせていただいております。開催の有無など決まり次第、ホームページ等でご案内いたしますので、ご了承くださいませ。
 沖島では、春になると島のあちらこちらで桜が満開となり、“桜色の島”となります。“沖島 桜まつり”は、桜色の沖島で郷土料理に舌鼓み・・・そんなお花見を楽しんでいただけるイベントです♪

“お花見セット”
 昨年も「桜まつり」は開催致しませんでしたが、湖島婦貴の会では“心ばかりのおもてなし”として、桜の開花にあわせて“春の限定メニュー”をご用意させていただきました。「花弁当」と「沖島桜もちをセットにした「花弁当セット(予約)」をはじめ、「沖島産の天ぷら」など、沖島の春を感じていただける品々をご提供させていただきました。
 今年こそは、桜色の沖島でお花見を楽しんでいただける・・・そんな春が来ることを心待ちにしております。

※沖島の桜の様子は“桜アルバム”でご紹介しています
※写真の“お花見セット”は2018年の桜まつりの時ものです。

◆ 『展望台』オープンに向けての取り組みが始まりました♪

 旧沖島小学校の跡地に建設されていました『展望台』ですが、様々な諸事情によりオープンが先送りとなっていましたが、いよいよ、正式なオープンに向けての取り組みが始まりました。日程は、まだ決まっておりませんが、決まりましたらホームページ等でお知らせしたいと思います。
 『展望台』からは沖島漁港側の琵琶湖や対岸が望めます。高台からの四季折々の風景をお楽しみいただけることと思います♪ 正式にオープン致しました際には、ぜひ、お立ち寄り下さいませ。
 

◆ 行政による『空き家リフォーム』で移住♪

 沖島の『空き家』を行政がリフォームし、そこに移住する方が決まりました。全国的にも「空き家問題」が取り沙汰されるようになる中、ここ沖島でも空き家が増加しており、高齢化とともに懸念されています。かねてより、沖島町離島振興推進協議会などでも「空き家問題」に取り組んでおり、これまでにも数名の方が移住、半移住をされています。
 このコロナ禍で「テレワーク」などの“働き方改革”が言われるようになりました。このことにより、これからは色々なライフスタイルが選択できるようになるのではないでしょうか。そんな中、「離島での暮らし」がその選択肢の一つとなれるよう、これからも取り組み、情報発信をしていければと思います。

冬の風物詩 〜〜ここからは例年の冬の沖島の様子をご紹介しています〜〜

 沖島の左義長祭り

 沖島の左義長祭りは、一人前になる行事(17才の元服)として昔から行われています。
 元服とは、かつての武士階級で、男子なら十三才から十七才までの間に行われる、今で言う成人式のような儀式で「加冠の儀」といい、それが済むと大人の仲間入りをし、一人前の武士として出陣する資格を得たそうです。
 沖島の左義長祭りは、その年に元服を迎える男子が元服を済ませた男達に様々な試練を与えられ、一人前の男として認められる、いわば…青年団に入る前の儀式のような意味合いもありました。
 今では、元服を迎える若者が毎年いないため、自治会と島の子供達が中心となり、五穀豊穣、大漁、無病息災、勉学などの祈願を込めて島民皆が参加するお祭、島の楽しみの一つとなっています。
“だんぶくろ”飾り

 年が明けると島全体で左義長祭りの準備が始まります。飾り付けをする竹を島民皆で集め、飾りの準備をします。男の子のいる家庭では吉書(きっしょ)さん”、女の子のいる家庭では“だんぷくろ”という飾りを作ります。この“だんぶくろ”は沖島ならではと言われており、「お裁縫が上手になりますように…」との願いを込めて一針一針、色紙を縫い合わせて作ります。
 そして、左義長祭の当日、お手製の飾りを竹に飾りつけ、広場に積み上げていきます。
    “飾り付けされた竹”


  “広場に積み上げられた竹”

“家族で飾付けをする島民”                   
  当日、公民館では、自治会と子供達が中心となり儀式を行なった後、飾り付けた竹を持って瀛津島神社へと上がります。
 瀛津島神社へ上がると、子供達は、ゆっくりと数回境内を回って神社を下り、左義長に火を入れる広場へと向かいます。
 以前は、元服する男子が瀛津島神社から下る際、行かせまいと青年団が邪魔をするなどして小競り合いをしました。神社の階段がとても急なため、島民はハラハラしながら見守ったものです。

“島の細い道を瀛津島神社へ
上がる子供達”


 “神社の境内を回る子供達”


 “広場へと向かう子供達”
 広場へ到着すると、いよいよ五穀豊穣、大漁、無病息災、勉学などの祈願を込めて、左義長に火が入れられます。その火を囲み、火が消えるまで島民の談笑が続きます。


“火を起こし左義長に火を入れます”
 
 “勢いよく燃え上がる左義長”
 獅子舞 

 島の年中行事の一つで、島の男子は、元服を済ませた翌年18才になると“獅子舞若連中”といい、伊勢大神楽講社の一行を迎えて、島中一軒一軒の“カマド払い”をします。
 この獅子舞は、鎮火守護の祈りの行事として古くから伝えられ、毎年2月から3月に行われます。午前中は各家庭を回ってお払いをしていただき、午後からは広場で獅子舞、余興が行われます。
 その見物に欠かせないのが“サト豆”というあられを砂糖で固めたお菓子です。「獅子舞の豆を食わんと良い日が来ん(春らしい日が来ない)」といわれ、今でも続く行事です。
 現在では、獅子舞若連中ではなく、決められた人が一行の送迎を行っています。

  
冬の味覚

 沖島の冬の味覚といえば、“わかさぎ”です。漁は8月下旬ころから始まりますが、冬の時期には、10〜15pほどの大きさに成長した子持ちのわかさぎが獲れます。
“わかさぎ”は骨が柔らかい湖魚で、天ぷら、南蛮漬けなどの料理に適し、また、この時期のものは子持ちなので“一夜干し”も大変美味です。
 また、この寒い時期を利用して、“お漬物”、“かきもち”などの保存食を作ります。お漬物作りは、ほとんどの家庭で行われているお正月前の年中行事のようなもので、自前の畑で採れた野菜を使って漬けます。
 ここでは、“わかさぎの一夜干し”“かきもち”、また年中食べられていますが、おせち料理の一品としても作られる“えび豆”をご紹介いたします。
◇ わかさぎの一夜干し
 
“わかさぎの一夜干し”は、塩水(水の量に対し1%の塩)にお酒を適量入れ、洗ったわかさぎを、そのまま3時間程度漬け、漬けたものを一晩、軒下等に陰干しにして作ります。
 一夜干しのわかさぎは、火が通る程度まで焼いて頂きます。海の干物とは、ひと味違う格別な味わいです。
 “わかさぎの一夜干し”は、なんといっても、わかさぎの鮮度が命です。獲れたての“わかさぎ”が手に入る沖島ならではの逸品です。

         《わかさぎの一夜干し》
◇ えび豆

  “えび豆”は、スジエビの代表的な料理で、日常的に作られますが、「腰が曲がるまでマメに暮らせますように・・・」と、おめでたい時やおせち料理のひと品としても、よく作られています。
 味・作り方は、各家庭で少しずつ違いがありますが、味は甘辛く、エビ豆の作り方の特徴として、大豆は柔らかく茹でたものを加え、エビがあまり硬くならないように短時間で炊き上げます。 

  ※ “えび豆”は通販でお買い求めいただけます。
     詳しくはこちらへ・・・
◇ かきもち

 “かきもち”は、昔から沖島の家庭で作られている保存食のひとつです。
 お餅をつくときに海苔、黒砂糖など入れて味付けし、切れる程度に四角く固めた餅を薄く(2〜3o程度)切り、藁で編んで吊るして、3ヶ月くらい部屋の中で干します。“かきもち編み”といわれ、どの家庭でも見られた光景です。
 作り方が餅つき機を使ったり、味付けをエビマヨ味(干しえびとマヨネーズ)にしたりと、昔とは少し変わりましたが、今でも多くの家庭で作られています。

《参考文献》
・ 「沖島物語」 西居正吉 著


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