“冬”の沖島   H30年冬
 沖島の冬は、寒さが厳しく、天候によって漁に出る日も少なくなります。
 厳しい季節のなかで、島民は
左義長祭り、獅子舞などの行事で一年の息災を祈り、また先人の知恵をかり保存食を作ったりして、暖かな春を待ちます。 
 


平成30年・冬の話題

 
今年も沖島に寒さ厳しい冬がやってきました。左義長祭りも終わり、静かな冬を迎えています。
 昨年も数十年ぶりかの積雪で話題となりましたが、今年も1月25日頃から3、4日ほど雪の日が続き、最終的には昨年と同じくらいの積雪量となりました。対岸の堀切港では車を動かすことができなくなり、重機を使って雪掻きをするなど、今までにない経験も致しました。そんな暖かな春が待ち遠しい沖島から、いくつか話題をお届け致します。

 チャネルキャットフィッシュ、琵琶湖でも生息…!


“幼魚”

“成魚”
 予てから琵琶湖でも生息しているのでは…と懸念されていた外来魚“チャネルキャットフィッシュ(アメリカナマズ)”が、まだ数は少ないものの琵琶湖でも捕獲され、生息が確認されました。
 この“チャネルキャットフィッシュ(アメリカナマズ)”は北米原産で、日本には養殖対象種として1971年に移入され、外来生物法において「特定外来生物」に指定されています。体長は稚魚で5cmくらい、幼魚で10cm、成魚になると30〜60cmくらいとなり、体が細長く、鱗はありません。胸びれと背びれにはトゲがあり、稚魚は体色が灰色かがった黄色で尾びれのふちが黒く、幼魚になると体表に黒い斑点が表れます。成魚になると黒い斑点は消え、体色は背側が暗い灰色、腹側が明るい灰色になります。
 漁業における影響としては、トゲで網や漁獲物を破損したり、手の怪我などの被害や雑食性であることから小魚が食べられたりする被害も発生しているようです。
既に国内では霞ヶ浦などで大きな問題となっており、漁業者や漁協などで駆除が行われています。
 琵琶湖においては、瀬田川下流で幼魚を含む137尾が捕獲されており、H29.12月には北湖において捕獲したエビが蓄用されている生簀の中で、今年生まれたと思われる幼魚が確認されています。このように琵琶湖においても捕獲事例が増加しており、幼魚も確認されたことから、繁殖による生息数の増加や生息域の拡大が心配されています。
 新たな外来魚の脅威から琵琶湖を守るために、捕獲した場合には早い段階から確実にその水域から取り除くことが重要です。琵琶湖に昔から生息している「ギギ」に似ているため、右のような文書も配布され、対策が始まっています。
《参考文献》「いばらき魚顔帳」

 冬の漁、今年も水揚げが少なめです…


“子持ちホンモロコの南蛮漬け”
 沖島の冬は、天候が安定しないことなどから漁に出られないことが多く、一年を通してみても冬の漁は水揚げが少なくなります。
 この冬は、12月から1月上旬にかけて漁に出られないことが多かったこともあって水揚げが少なかったのですが、大寒の頃からすり鉢状になっている琵琶湖の底のほうに湖魚が集まってくるため、スジエビなどは捕獲しやすくなり、水揚げも増えてくると思われます。
 冬を代表する湖魚“わかさぎ”は、今年の秋の話題でもご紹介したように不漁が続いています。“わかさぎ”は琵琶湖に外来魚として生息し始め、平成に入ってから他の外来魚の増加とともに増加し、今では琵琶湖の冬を代表する味覚となっています。しかしながら、外来魚の駆除や琵琶湖の水質改善が進み、外来魚が減少するとともに“わかさぎ”も獲れなくなってきています。
 また、昨年の冬、極端な不漁で心配された“稚アユ(氷魚)漁”ですが、今年は人工河川で18tの親魚を放流するなどの対策が功を奏じたのか、なんとか目標値である漁獲量(20t)に近づくことができたので、1月10日をもって終了致しました。しかしながら、数年前に比べ漁獲量が減少してきていることには変わりがありません。ここ10年の琵琶湖のアユの傾向として、年々成魚の体長が小さくなってきているように思われます。このことから、推測になりますが、稚魚が未熟すぎて餌を捕ることができず、成魚になることができないものが多いため、漁獲量の減少にもつながってきているのではないでしょうか。
 琵琶湖の水質自体は改善されてきているものの、水質の貧栄養化が進んでいます。水質基準はあくまでも人間を基準としたものであり、琵琶湖の魚にとって良いかどうかはわかりません。琵琶湖再生法が制定されても、なかなか未来を見据えた対策を講じるのは難しく、現状を維持するのも難しいのが現状です。

“本もろこ若煮”
 しかしながら、このような中でも漁に出れば少しずつでも琵琶湖は恵みを与えてくれます。この冬も“わかさぎ”は獲れなくても“ホンモロコ”の水揚げは秋に続き、やや回復して来ています。“ホンモロコ”は3月に入ると子持ちになり、“ひなもろこ”と呼ばれ、特に美味しいといわれています。この琵琶湖の恵みに感謝し、絶やすことなく次世代に受け継いでいくことが漁業者の務めでは・・・と思いつつ春の漁に期待を寄せる冬です。

※“ホンモロコの南蛮漬け”等は通信販売でお買い求めいただけます。
 詳しくはこちらから・・・
“沖島家庭の味”宅配便
 


 お知らせです

◆ “沖島 桜まつり”今年も開催する予定です♪

 沖島漁協婦人部「湖島婦貴の会」では、今年も、昨年、大変ご好評いただきました“沖島 桜まつり”を開催させていただきます。
 沖島では、春になると島のあちらこちらで桜が満開となり、“桜色の島”となります。特に島の西側は見事で“桜のトンネル”と言われ、ちょっとした名所となっています。“桜トンネル”に沿って『安全柵』も設置され、安全にお花見を楽しんでいただけるようになりました。
桜色の沖島で郷土料理に舌鼓み・・・そんなお花見はいかがでしょうか♪
 また、今年も毎年ご好評をいただいております“お花見セット”もご用意させていただく予定です。“ビワマスのおすし”をはじめ、湖魚の佃煮など沖島の味がいっぱい詰まったセットです。その他、一品料理も多数ございます。ぜひ、満開の桜とともご賞味くださいませ♪
 開催日時など詳細は決まり次第、ホームページ等でご案内いたします。
※写真の“お花見セット”は昨年のものですのでご了承ください。
※沖島の桜の様子は“桜アルバム”でご紹介しています。


◆ 沖島の冬の風物詩 “獅子舞”

 沖島の冬の風物詩としてご紹介している“獅子舞”が、今年は2月25日(日)に行われる予定です。
“獅子舞”は、古くから伝わる沖島の年中行事のひとつで、各家庭を廻った後、漁港近くの広場で余興が行われます。(詳しい内容は、下記の『冬の風物詩』のコーナーでご紹介しています。)
 ぜひ、この機会に沖島へ足を運んでみませんか♪


◆ “塩切り鮒の予約販売”のご案内♪

 毎年、ご好評をいただいております「塩切り鮒の予約販売」を今年も3月から行う予定です。
 ご家庭で手軽に“ふなずし作り”を楽しんでいただけるよう、ふなずし作りの工程で最も手間のかかる塩切り(塩漬け)までしてありますので、後は夏の土用の頃(9月頃まで可能)に漬け込みしていただけば、年末年始頃には美味しい“ふなずし”を楽しんでいただけます。
 最近は他との競合も激しくなっていますが、沖島の“塩切り鮒”は水揚げされたばかりの新鮮な子持ちのニゴロブナを傷つけないように全て手作業で仕込むので、品質には自信を持ってお届け致しております。詳しくは
「塩切り鮒の予約販売」のページをご覧下さい。

冬の風物詩 〜〜ここからは例年の冬の沖島の様子をご紹介しています〜〜

 沖島の左義長祭り

 沖島の左義長祭りは、一人前になる行事(17才の元服)として昔から行われています。
 元服とは、かつての武士階級で、男子なら十三才から十七才までの間に行われる、今で言う成人式のような儀式で「加冠の儀」といい、それが済むと大人の仲間入りをし、一人前の武士として出陣する資格を得たそうです。
 沖島の左義長祭りは、その年に元服を迎える男子が元服を済ませた男達に様々な試練を与えられ、一人前の男として認められる、いわば…青年団に入る前の儀式のような意味合いもありました。
 今では、元服を迎える若者が毎年いないため、自治会と島の子供達が中心となり、五穀豊穣、大漁、無病息災、勉学などの祈願を込めて島民皆が参加するお祭、島の楽しみの一つとなっています。
“だんぶくろ”飾り

 年が明けると島全体で左義長祭りの準備が始まります。飾り付けをする竹を島民皆で集め、飾りの準備をします。男の子のいる家庭では吉書(きっしょ)さん”、女の子のいる家庭では“だんぷくろ”という飾りを作ります。この“だんぶくろ”は沖島ならではと言われており、「お裁縫が上手になりますように…」との願いを込めて一針一針、色紙を縫い合わせて作ります。
 そして、左義長祭の当日、お手製の飾りを竹に飾りつけ、広場に積み上げていきます。
    “飾り付けされた竹”


  “広場に積み上げられた竹”

“家族で飾付けをする島民”                   
  当日、公民館では、自治会と子供達が中心となり儀式を行なった後、飾り付けた竹を持って瀛津島神社へと上がります。
 瀛津島神社へ上がると、子供達は、ゆっくりと数回境内を回って神社を下り、左義長に火を入れる広場へと向かいます。
 以前は、元服する男子が瀛津島神社から下る際、行かせまいと青年団が邪魔をするなどして小競り合いをしました。神社の階段がとても急なため、島民はハラハラしながら見守ったものです。

“島の細い道を瀛津島神社へ
上がる子供達”


 “神社の境内を回る子供達”


 “広場へと向かう子供達”
 広場へ到着すると、いよいよ五穀豊穣、大漁、無病息災、勉学などの祈願を込めて、左義長に火が入れられます。その火を囲み、火が消えるまで島民の談笑が続きます。


“火を起こし左義長に火を入れます”
 
 “勢いよく燃え上がる左義長”
 獅子舞 

 島の年中行事の一つで、島の男子は、元服を済ませた翌年18才になると“獅子舞若連中”といい、伊勢大神楽講社の一行を迎えて、島中一軒一軒の“カマド払い”をします。
 この獅子舞は、鎮火守護の祈りの行事として古くから伝えられ、毎年2月から3月に行われます。午前中は各家庭を回ってお払いをしていただき、午後からは広場で獅子舞、余興が行われます。
 その見物に欠かせないのが“サト豆”というあられを砂糖で固めたお菓子です。「獅子舞の豆を食わんと良い日が来ん(春らしい日が来ない)」といわれ、今でも続く行事です。
 現在では、獅子舞若連中ではなく、決められた人が一行の送迎を行っています。

  
冬の味覚

 沖島の冬の味覚といえば、“わかさぎ”です。漁は8月下旬ころから始まりますが、冬の時期には、10〜15pほどの大きさに成長した子持ちのわかさぎが獲れます。
“わかさぎ”は骨が柔らかい湖魚で、天ぷら、南蛮漬けなどの料理に適し、また、この時期のものは子持ちなので“一夜干し”も大変美味です。
 また、この寒い時期を利用して、“お漬物”、“かきもち”などの保存食を作ります。お漬物作りは、ほとんどの家庭で行われているお正月前の年中行事のようなもので、自前の畑で採れた野菜を使って漬けます。
 ここでは、“わかさぎの一夜干し”“かきもち”、また年中食べられていますが、おせち料理の一品としても作られる“えび豆”をご紹介いたします。
◇ わかさぎの一夜干し
 
“わかさぎの一夜干し”は、塩水(水の量に対し1%の塩)にお酒を適量入れ、洗ったわかさぎを、そのまま3時間程度漬け、漬けたものを一晩、軒下等に陰干しにして作ります。
 一夜干しのわかさぎは、火が通る程度まで焼いて頂きます。海の干物とは、ひと味違う格別な味わいです。
 “わかさぎの一夜干し”は、なんといっても、わかさぎの鮮度が命です。獲れたての“わかさぎ”が手に入る沖島ならではの逸品です。

         《わかさぎの一夜干し》
◇ えび豆

  “えび豆”は、スジエビの代表的な料理で、日常的に作られますが、「腰が曲がるまでマメに暮らせますように・・・」と、おめでたい時やおせち料理のひと品としても、よく作られています。
 味・作り方は、各家庭で少しずつ違いがありますが、味は甘辛く、エビ豆の作り方の特徴として、大豆は柔らかく茹でたものを加え、エビがあまり硬くならないように短時間で炊き上げます。 

  ※ “えび豆”は通販でお買い求めいただけます。
     詳しくはこちらへ・・・
◇ かきもち

 “かきもち”は、昔から沖島の家庭で作られている保存食のひとつです。
 お餅をつくときに海苔、黒砂糖など入れて味付けし、切れる程度に四角く固めた餅を薄く(2〜3o程度)切り、藁で編んで吊るして、3ヶ月くらい部屋の中で干します。“かきもち編み”といわれ、どの家庭でも見られた光景です。
 作り方が餅つき機を使ったり、味付けをエビマヨ味(干しえびとマヨネーズ)にしたりと、昔とは少し変わりましたが、今でも多くの家庭で作られています。

《参考文献》
・ 「沖島物語」 西居正吉 著


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