“冬”の沖島   2021年・冬
 沖島の冬は、寒さが厳しく、天候によって漁に出る日も少なくなります。
 
厳しい季節のなかで、島民は左義長祭り、獅子舞などの行事で一年の息災を祈り、また先人の知恵をかり保存食を作ったりして、暖かな春を待ちます。 
 


令和3年・冬の話題

 今年も、沖島に静かな冬がやってまいりました。暖冬続きだった沖島ですが、年末から元旦にかけて雪が降ったり、西風の強い日々続いたりと体感的にも厳しい寒さを感じる日がある一方、“大寒”でも暖かな日だったりと寒暖の差はあるものの比較的穏やかな冬といえるのではないでしょうか・・・。
 しかしながら、「コロナ禍」という経験したことのない不安な日々も続いており、島の生活にも様々な影響が出ています。そんな中で新年を迎え、島の最初の年中行事である一年の五穀豊穣、無病息災などを祈願する「左義長祭り」も滞りなく行うことができましたこと、とても感謝し安堵いたしております。
 春の訪れとともに心穏やかな日々が待ち遠しい・・・そんな冬の沖島からいくつかの話題をお届け致します。

 冬の漁 漁自体は好調なのですが・・・

 暖冬傾向が続いていた沖島も、今年は年末から元旦にかけて雪が降るなど久しぶりに冬らしい寒さとなっています。年末を過ぎ1月に入った頃からは荒れる日も多く、漁にあまり出られていないので断言はできませんが、現時点(1月下旬)では、全体的に好調な感じを受けています。

“スジエビ”
 中でも水揚げが増加してきているのは“スジエビ漁”です。これは漁場の範囲が広くなったことによるものだと推測されます。以前は水深50〜60mのところで獲れていましたが、半月くらい前から60m前半〜70mのところでも獲れるようになりました。それにより島の近くまで漁場が拡がったことで漁がしやすくなり、水揚げ増加につながってきていると思われます。このような状況になって半月ほどなので確定的な判断は出来ませんが、資源的にも多くいると思われ、昨年より水揚げが多くなる兆しを感じています。

“ホンモロコ” 
 また、“ホンモロコ漁”も引き続き好調で、資源的にも多くいると思われます。この好調続きは、夏や秋の話題でも取り上げてきたように外来魚の駆除や稚魚の放流など資源回復に努めてきたことに加え、現在の琵琶湖の環境がホンモロコの生育環境に適しているのでないかと思われます。しかしながら、相変わらず買取単価は低い状態が続いており、漁業従事者にとっては厳しい状況です。
 ここ数年不漁が続いている“ニゴロブナ漁”は、この秋に多くの稚魚を目にしており、このまま順調に育ってきてくれることを願いつつ、冬を迎えました。その願いが通じた?かは定かではありませんが…このところ少しずつ水揚げされています。未だ組合で本格的な買い入れをしていないため確定的なことはいえませんが、見通しは暗くないようです。今年の本格的な漁の開始も、ここ数年の不漁を考慮して通常より早目の2月15日くらいからを予定しておりますが、その状況をみて好調なら半月延ばし通常どおりの3月1日から本格始動する予定です。半月でも獲る時期を遅らすことで卵の抱え方がとても良くなるため、毎年恒例となりました「塩切り鮒の予約販売」や「鮒ずし手作り講習会」で、より良い状態のものをご提供させていただけるように状況を見極め、進めて参りたいと思います。
 また、毎年12月に行われる“ヒウオ漁”ですが、今年は3日間ほどで目標漁獲量(13t)に達し、漁を終えました。この“ヒウオ漁”は養殖用・放流用の種苗として獲るもので、あらかじめその年の目標漁獲量を設定し、その量が達成されるまで漁が行われるます。今年は例年より目標漁獲量が少なかったものの、3日間ほどで漁が終わり豊漁だったことから、今年の春からの“小アユ漁”も期待できそうです。

“わかさぎの一夜干し”
 しかしながら、冬に旬を迎える“ワカサギ漁”は秋から引き続き、あまり獲れない状況が続いています。竹生島を越えて北東の方まで漁の範囲を拡げれば1隻あたり50kgほど獲れるようですが、燃料費などを差し引くと売上げが半減してしまいます。一方、沖島の周辺のみでは一隻あたり20kgほどの水揚げしかなく、燃料費は抑えられるものの水揚げが少ないため、わずかな稼ぎにしかなりません。漁師にとってはどちらも採算がとれず苦しい状況です。
 ワカサギは琵琶湖の固有種ではありませんが、琵琶湖で獲れるワカサギは他の湖で獲れるものに比べ“体長20cm前後”と大きいものが多く、これは琵琶湖の水深による水圧の高さが要因と言われています。子持ちになるこの時期には“一夜干し”などにしても食べ応えがあり、ワカサギ本来の味を楽しんでいただけます。
 このような冬の漁の様子から漁自体は比較的好調のようですが、『漁業』という事業としては決して好調とは言えません。あまりクローズアップされることはありませんが、新型コロナウイルスの影響は私たち漁業者にも暗い影を落としています。「秋の話題」でも取り上げたように近年の食生活の変化などによる“湖魚の需要の低迷”にコロナ禍による飲食関係の消費の落ち込みが更なる追い討ちをかけています。そのため、湖魚の買取業者による買取量とともに単価も低く抑えられる頭打ちの状態が続いております。コロナ禍下でやむを得ないこととは思いますが、この「獲っても売れない」という状況は、漁師のモチベーションをますます低下させるだけでなく、その日しのぎの生活を余儀なくされることで活気も失い、漁師の誇りすら失いかねません。私ども漁師を支援すべく琵琶湖の湖底状況を良くする取り組みに助成金が出るなどの策もとられていますが、いつまで頑張ればいいのか見通しがつかない状況はとても厳しいものです。
 しかしながら、私ども琵琶湖の漁師は漁師であると同時に“琵琶湖の恵みと伝統を次世代へ引き継ぐ担い手”でもあり、それを受け継ぎ守ってきた誇りもあります。なんとか一日も早い収束を願いつつ、琵琶湖の漁師として、琵琶湖の恵みと伝統を引き継ぐ担い手としての誇りを糧に、この状況を乗り越えていけるよう取り組んで参りたいと思います。

※“「びわ湖のさかな」をたべてみよう”のページでも琵琶湖の湖魚についてご紹介しております。ぜひ、ご覧下さいませ。詳しくはこちらから・・・“「びわ湖のさかな」をたべてみよう!” 


《写真》「琵琶湖の幸 読本」 平成19年9月発行 滋賀県漁業協同組合連合会

 おうちご飯・宅飲みに“琵琶湖の恵み”はいかかですか♪

 「おうちご飯」、「宅飲み」のおともに“琵琶湖の恵み”はいかがですか♪
 ピッタリな沖島の湖魚料理をご紹介いたします。

◆  えび豆若煮 ◆ ご飯のおとも、日本酒・焼酎のおつまみに・・・ 
 沖島で水揚げされたスジエビを大豆と一緒に炊き上げました。大豆は柔らかく茹でたものを加え、エビがあまり硬くならないように短時間で炊き上げます。若煮は昔から沖島の漁師の家庭で受け継がれてきた炊き方で佃煮より短時間で炊き上げることで、柔らかく、あっさりとして甘辛さに仕上がります。
 沖島の“えび豆”はお豆よりエビが多いのも特徴で、甘辛さの中にエビの風味がひろがり、日本酒などのおつまみにもピッタリです。

◆  本もろこ南蛮酢漬け ◆ 野菜を添えてサラダ感覚で・・・
  沖島で水揚げされた新鮮な“ホンモロコ”をそのまま素焼きにし、南蛮酢漬けにしました。素材の味を大切にし、まろやかな酸味に唐辛子の辛さがアクセントになった一品です。3月の節句の頃に獲れるものは“ひなもろこ”と呼ばれ、子持ちになって美味しさも増します。
 酢漬けにすることで骨も柔らかく、油を使わないのでさっぱりしており、野菜など添えてサラダ感覚で召し上がっていただけます。琵琶湖のたん白質&カルシウムたっぷりサラダ…いかがですか♪

◆  沖島の鮒ずし ◆ 芳醇なチーズのような味わいをワインとご一緒に・・・
 『鮒ずし』は、鮒のウロコと内臓を取り、3ヵ月以上塩漬けにしたものを丁寧に洗い(塩切り)、飯漬けにし5ヶ月くらい発酵させた発酵食品です。
 沖島の鮒ずしは、春に沖島で水揚げされた卵をたっぷり抱えた“天然ニゴロブナ”を一つ一つ丁寧に漬け込みました。鮒ずし特有の香りも少なく『食べやすい♪』『ご飯のところがチーズみたい♪』とご好評をいただいております。
 そのままで、ご飯のおともとしてお茶漬けにしても美味しく召し上がっていただけます。また、
芳醇なチーズのような味わいはワインなどにもピッタリです♪
 琵琶湖の湖魚は天ぷら、煮付け、じゅじゅん(すき焼き)などにしても美味しく召し上がっていただけるのですが、鮮度保持の問題から「活魚」での流通が難しいため、若煮などの「加工品」にして“琵琶湖の恵み”をご家庭にお届け致します。ぜひ、「おうち時間」のひと品に“琵琶湖の恵み”をご賞味くださいませ♪
 コロナ禍の影響により、更に湖魚の需要が低迷してきておりますが、更なる湖魚の魅力・美味しさの情報発信に努め、“琵琶湖の恵み”を受け継ぎ守っていけるよう取り組んで参りたいと思います。


★ ご紹介した御料理のほかに沖島漁協婦人部『湖島婦貴の会』では、いろいろな沖島の湖魚料理
 を販売致しております。通信販売でもお買い求めいただけますので、ぜひ、ご利用くださいませ。
  詳細はこちらから・・・


 “琵琶湖の全層循環”この冬、起きました♪ しかし、湖底では…

 「秋の話題」でも取り上げましたが、ここ2年続きで“琵琶湖の全層循環”が確認されておらず琵琶湖の水質環境への影響が懸念されてきましたが、この冬、待ちに待った“琵琶湖の全層循環”が確認されました。
 この“琵琶湖の全層循環”には、その冬の積雪量が大きく関わっており、この積雪が雪解け水となって琵琶湖に流れ込むことにより、起きると言われています。今年は湖北のほうで積雪があったことから、全層循環が起きたと思われます。この全層循環という現象は年に一回起こると言われており、全層循環が起きることで酸素を豊富に含んだ水が琵琶湖全体に行き渡り、水質環境が改善され、湖魚の生育環境の改善へと繋がっていきます。そのため、琵琶湖の漁業にとっても影響があり、重要視されています。
 このように琵琶湖の水質環境は常に重要視されていますが、私たち漁師が今、最も懸念を抱いているのは琵琶湖の
“湖底の環境”です。“湖底”の様子は“水質”に比べ、通常では目にすることがないため気づきにくいことではありますが、私たち漁師は漁を通して、底泥の堆積が年々増加し底泥層の厚さが深刻化してきていること日々、実感しております。
 この底泥層が湖魚に影響を与えているかどうかはわかりませんが、漁業的な損失は増加してきています。具体的には底泥が網に入って毛布のような状態となり漁網の網目を覆ってしまうため網をよせると水圧により魚が出ていってしまったり、網ごと破れたり…という実害です。私たち漁師とって網ごとやられてしまうことは、とても大きな痛手となります。
 この底泥層の問題は、現在の浄化システムでは浄化しきれない物質によるものとか、そのまま流れ込む農業濁水によるものでは…など様々な原因が考えられますが、あまり調査などが進んでおらず原因究明が待たれるところです。また、この問題の難点は、底泥はすくい上げない限り減らないということです。しかしながら、それは容易なことではなく、現時点で大切なことは、これ以上底泥を増やさない取り組みではないでしょうか。生活様式などが変化してきている今、昔の琵琶湖を取り戻すことは無理なことであり、今の琵琶湖を残しこれ以上悪くしないための取り組みに力を注いでいくことが肝要と私たち漁師は考えます。
 ここ何年かで琵琶湖の水は透明度が増し、きれいになりました。しかしながら、見た目に囚われることなく根本的なところにも目を向け、琵琶湖に暮らす者として、これからも注意深く見守っていきたいと思います。


 1月10日(日) 左義長祭りが行われました

 今年も1月10日(日)、沖島の“左義長祭り”が行われました。今年は晴天に恵まれたものの、左義長の時期らしい寒い中、行われました。今年はコロナ禍での開催ということもあり、“マスク着用”など感染対策をしたり、観光客の方が少ないなど…いつもとは少し様子が違いましたが、このような状況の中で毎年行われている年明け最初の年中行事を無事に開催できましたことに感謝し安堵しております。
 沖島の左義長祭りは、一人前になる行事(17才の元服)として昔から行われており、その年に元服を迎える男子が元服を済ませた男達に様々な試練を与えられ、一人前の男として認められる、いわば…青年団に入る前の儀式のような意味合いもありました。今では、元服を迎える若者が毎年いないため、自治会と島の子供達が中心となり、五穀豊穣、大漁、無病息災、勉学などの祈願をするお祭りとなり、観光客の方もたくさん見に来られる、島の楽しみの一つとなっています。(下記の“冬の風物詩”でお祭りの様子をご紹介しております。)
 毎年、当たり前のように行われていた年中行事ですが、今年は何事においても継続できることの有難さを実感しております。島の生活の移り変わりとともに沖島の伝統行事も少しずつ様変わりしてきておりますが、改めて“受け継ぐ”ということを大切にしていきたいと思います。そして来年は、多くの観光客の皆様にも左義長祭りを楽しんでいただける冬になりますよう、願うばかりです。

 お知らせです

◆ “塩切り鮒の予約販売”のご案内♪

 毎年、ご好評をいただいております「塩切り鮒の予約販売」を今年も2月から行っています。
 ご家庭で手軽に“ふなずし作り”を楽しんでいただけるよう、ふなずし作りの工程で最も手間のかかる塩切り(塩漬け)までしてありますので、後は夏の土用の頃(9月頃まで可能)に漬け込みしていただけば、年末年始頃には美味しい“ふなずし”を楽しんでいただけます。
 最近は他との競合も激しくなっていますが、沖島の“塩切り鮒”は水揚げされたばかりの新鮮な子持ちのニゴロブナを傷つけないように全て手作業で仕込むので、品質には自信を持ってお届け致しております。詳しくは
「塩切り鮒の予約販売」のページをご覧下さい。

◆ “沖島 桜まつり”今年の開催は検討中です・・・


“新名所『RYUBOKU HU』Tと桜”
 毎年ご好評をいただいております沖島漁協婦人部「湖島婦貴の会」主催の“沖島 桜まつり”ですが、今年の開催につきましてはコロナ禍による今後の状況を考慮し、ただいま検討をさせていただいております。開催の有無など決まり次第、ホームページ等でご案内いたしますので、ご了承くださいませ。
 沖島では、春になると島のあちらこちらで桜が満開となり、“桜色の島”となります。“沖島 桜まつり”は、桜色の沖島で郷土料理に舌鼓み・・・そんなお花見を楽しんでいただけるイベントです♪

“お花見セット”
 昨年の桜まつりは、新型コロナウイルスの影響により中止させていただきました。今年は桜色の沖島でお花見を楽しんでいただける・・・そんな春が来ることを願っております。

※沖島の桜の様子は“桜アルバム”でご紹介しています
※写真の“お花見セット”は2018年の桜まつりの時ものです。

◆ 沖島の冬の風物詩 “獅子舞”

 沖島の冬の風物詩としてご紹介している“獅子舞”が、今年は2月28日(日)に行われる予定です。
“獅子舞”は、古くから伝わる沖島の年中行事のひとつで、各家庭を廻った後、漁港近くの広場で余興が行われます。詳しい内容は、下記の『冬の風物詩』のコーナーでご紹介しています。この機会に沖島へ足を運んでみませんか♪
 
※ お越しの際はマスク着用など感染対策にご協力
  下さいますよう、よろしくお願い致します。

冬の風物詩 〜〜ここからは例年の冬の沖島の様子をご紹介しています〜〜

 沖島の左義長祭り

 沖島の左義長祭りは、一人前になる行事(17才の元服)として昔から行われています。
 元服とは、かつての武士階級で、男子なら十三才から十七才までの間に行われる、今で言う成人式のような儀式で「加冠の儀」といい、それが済むと大人の仲間入りをし、一人前の武士として出陣する資格を得たそうです。
 沖島の左義長祭りは、その年に元服を迎える男子が元服を済ませた男達に様々な試練を与えられ、一人前の男として認められる、いわば…青年団に入る前の儀式のような意味合いもありました。
 今では、元服を迎える若者が毎年いないため、自治会と島の子供達が中心となり、五穀豊穣、大漁、無病息災、勉学などの祈願を込めて島民皆が参加するお祭、島の楽しみの一つとなっています。
“だんぶくろ”飾り

 年が明けると島全体で左義長祭りの準備が始まります。飾り付けをする竹を島民皆で集め、飾りの準備をします。男の子のいる家庭では吉書(きっしょ)さん”、女の子のいる家庭では“だんぷくろ”という飾りを作ります。この“だんぶくろ”は沖島ならではと言われており、「お裁縫が上手になりますように…」との願いを込めて一針一針、色紙を縫い合わせて作ります。
 そして、左義長祭の当日、お手製の飾りを竹に飾りつけ、広場に積み上げていきます。
    “飾り付けされた竹”


  “広場に積み上げられた竹”

“家族で飾付けをする島民”                   
  当日、公民館では、自治会と子供達が中心となり儀式を行なった後、飾り付けた竹を持って瀛津島神社へと上がります。
 瀛津島神社へ上がると、子供達は、ゆっくりと数回境内を回って神社を下り、左義長に火を入れる広場へと向かいます。
 以前は、元服する男子が瀛津島神社から下る際、行かせまいと青年団が邪魔をするなどして小競り合いをしました。神社の階段がとても急なため、島民はハラハラしながら見守ったものです。

“島の細い道を瀛津島神社へ
上がる子供達”


 “神社の境内を回る子供達”


 “広場へと向かう子供達”
 広場へ到着すると、いよいよ五穀豊穣、大漁、無病息災、勉学などの祈願を込めて、左義長に火が入れられます。その火を囲み、火が消えるまで島民の談笑が続きます。


“火を起こし左義長に火を入れます”
 
 “勢いよく燃え上がる左義長”
 獅子舞 

 島の年中行事の一つで、島の男子は、元服を済ませた翌年18才になると“獅子舞若連中”といい、伊勢大神楽講社の一行を迎えて、島中一軒一軒の“カマド払い”をします。
 この獅子舞は、鎮火守護の祈りの行事として古くから伝えられ、毎年2月から3月に行われます。午前中は各家庭を回ってお払いをしていただき、午後からは広場で獅子舞、余興が行われます。
 その見物に欠かせないのが“サト豆”というあられを砂糖で固めたお菓子です。「獅子舞の豆を食わんと良い日が来ん(春らしい日が来ない)」といわれ、今でも続く行事です。
 現在では、獅子舞若連中ではなく、決められた人が一行の送迎を行っています。

  
冬の味覚

 沖島の冬の味覚といえば、“わかさぎ”です。漁は8月下旬ころから始まりますが、冬の時期には、10〜15pほどの大きさに成長した子持ちのわかさぎが獲れます。
“わかさぎ”は骨が柔らかい湖魚で、天ぷら、南蛮漬けなどの料理に適し、また、この時期のものは子持ちなので“一夜干し”も大変美味です。
 また、この寒い時期を利用して、“お漬物”、“かきもち”などの保存食を作ります。お漬物作りは、ほとんどの家庭で行われているお正月前の年中行事のようなもので、自前の畑で採れた野菜を使って漬けます。
 ここでは、“わかさぎの一夜干し”“かきもち”、また年中食べられていますが、おせち料理の一品としても作られる“えび豆”をご紹介いたします。
◇ わかさぎの一夜干し
 
“わかさぎの一夜干し”は、塩水(水の量に対し1%の塩)にお酒を適量入れ、洗ったわかさぎを、そのまま3時間程度漬け、漬けたものを一晩、軒下等に陰干しにして作ります。
 一夜干しのわかさぎは、火が通る程度まで焼いて頂きます。海の干物とは、ひと味違う格別な味わいです。
 “わかさぎの一夜干し”は、なんといっても、わかさぎの鮮度が命です。獲れたての“わかさぎ”が手に入る沖島ならではの逸品です。

         《わかさぎの一夜干し》
◇ えび豆

  “えび豆”は、スジエビの代表的な料理で、日常的に作られますが、「腰が曲がるまでマメに暮らせますように・・・」と、おめでたい時やおせち料理のひと品としても、よく作られています。
 味・作り方は、各家庭で少しずつ違いがありますが、味は甘辛く、エビ豆の作り方の特徴として、大豆は柔らかく茹でたものを加え、エビがあまり硬くならないように短時間で炊き上げます。 

  ※ “えび豆”は通販でお買い求めいただけます。
     詳しくはこちらへ・・・
◇ かきもち

 “かきもち”は、昔から沖島の家庭で作られている保存食のひとつです。
 お餅をつくときに海苔、黒砂糖など入れて味付けし、切れる程度に四角く固めた餅を薄く(2〜3o程度)切り、藁で編んで吊るして、3ヶ月くらい部屋の中で干します。“かきもち編み”といわれ、どの家庭でも見られた光景です。
 作り方が餅つき機を使ったり、味付けをエビマヨ味(干しえびとマヨネーズ)にしたりと、昔とは少し変わりましたが、今でも多くの家庭で作られています。

《参考文献》
・ 「沖島物語」 西居正吉 著


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